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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 254

落ち込みながらも娘が成長して帰ってきた事は嬉しい裕美だった。


そして、幸子。
こちらは孫どころかひ孫。
そのひ孫に乳を与えながら嬉しそうにしていた。

「いいわね、赤ちゃんは」
「この歳でおばあちゃんはキツいわ」

嬉しそうな幸子と苦笑しか出ない真奈。
真奈に至っては裕美より若いおばあちゃんだ。

「真奈だって、奈帆と同じ年頃でママになっているじゃない」
「・・・まあ、そうだけど」

あなたの時も大変だったのよと笑う幸子と憮然とする真奈。
親に反発して牧場や学校や外で男とヤリまくり、おまけに不倫して(つまり祐志の子)子供を作ると言う奈帆は真奈とやってる事はほぼ同じなのである。
まさか真奈も当時幸子が感じた事を共有するとは思いもしなかったのである。

「私もおじさんと弟を同時に授乳させるとは思わなかったし」
「赤ちゃんはどんな関係であれいいものよ」

その真奈は幸子と真奈の赤ん坊を抱きながら笑っていた。
この子達の父親が同じと言う辺り、やはり血縁なのだなと感じてしまっていた。

奈帆は奈帆で、帰国するまで一連の事実を明かすことができず、母と祖母からは報告したら勘当されるのではと恐れ、由紀と一緒の帰国を躊躇ったこともあったが、結局似たもの同士の母娘だったことがわかって一安心するのであった。


8月。
ノースウィンドがデビュー戦を迎えることをクリスから報告を受け、樹里は再びアメリカにやってきた。
初戦の鞍上は4姉妹の末っ子のクロエが務めることに。
僚馬である漆黒の猛獣ーサンデーサイレンスの初戦は秋頃になることも教えてもらったが、もう一つの関心事は東海岸でデビューし話題になっていた同世代のイージーゴアという牡馬の話だった。

輝くような黄金の馬体と近親に活躍馬を多く輩出する母系。
父は良血の人気種牡馬アリダー。
デビュー前からクラシック最有力候補として評判になっていた。
因みにノースウィンドもサンデーサイレンスの方は何の話題にもなっていなかった。

とは言え、名門ウイッチ厩舎では期待されている。
それは電話でも聞いていたが、久しぶりに厩舎に行くとノースウィンドとサンデーサイレンスが隣同士の馬房にいた。

樹里を見て威嚇するように唸るサンデーサイレンス。
馬と言うより猛獣だが、以前より大人しく見える。
ノースウィンドの方はいつもの通り人懐こそうな顔で樹里を迎えていた。

「不思議なんだけど、白い馬が好きみたいなのよねサンディって」
「そうなんですね・・・」

ウイッチ四姉妹の三女、エイミーが樹里を案内する。
彼女はサンデーサイレンスの主戦及び調教も担当している。

「クロエがノースウィンドを担当するけど・・・単純なスピード能力なら上位クラスだって喜んでいたわ」

主に性格面で歓迎されたノースウィンドだが、スピードもアメリカでやっていけるレベルだと言う。

出走するレースは1300mのメイデン。
メイデンとは日本で言う新馬戦や未勝利戦に当たるものだ。

現時点で6頭程の登録があるが、相手関係的には余裕だとクリスは見ていた。
だが、マイナー血統の上に日本生産馬とあって、人気は最低になりそうな感じらしい。

「と言う事で大金を賭けておくべきね、オーナー!」

西海岸のアメリカ娘らしい陽気さでエイミーが茶目っ気たっぷりにそう言うのに釣られて樹里も笑う。
名門厩舎だけに堅苦しいのかと思いきや、やはりアメリカだけあって非常に明るくてエネルギッシュな雰囲気だった。


そのノースウィンドの初戦。
ゲートが開いた瞬間、内枠から猛然とノースウィンドをダッシュさせるクレア。
これは脚質が逃げだからと言うより、現時点で持つスピード能力を実践で試したいと言うクリスの指示からだ。

人気薄のマイナー血統と言うのもあって、誰も競りかけないのを良い事に、5馬身程離して逃げるノースウィンド。
馬場の適正は問題無いようだった。

伸び伸びと弾むように駆けるノースウィンド。
鞍上のクロエも乗っていて楽しそうだと感じるくらい。
それだけ手ごたえを感じていた。

直線に入ってもリードは詰まらない、どころかどんどん広がっていくように見えた。
下級条件のレースで客入りは少ないが、それでも観客を驚かせるだけのパフォーマンスだった。

結果、7馬身差をつける圧勝でデビュー戦勝利。
まだまだ余裕があるような勝ち方で、距離ももっと長くても行けそう、とクロエは話す。

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