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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 248

明けて5歳になるが、今年初戦の京王杯スプリングカップも他を寄せ付けない完勝。
堂々安田記念でも人気に支持され、「栗東のあの馬が出ていても勝てるくらいの仕上がりだよ」と久保山調教師も太鼓判を押す。

それに続くのがウィンドサッシュとダイナアクトレス、ヴィクトリアマイルで激戦を繰り広げた牝馬2頭だ。

この牝馬2頭は牡馬相手でも活躍している。
特にマイルは適距離と言える。

人気はニッポーテイオーが頭一つ抜けた一番人気。
ウィンドサッシュとダイナアクトレスがそこに続き、更にフレッシュボイスとホクトヘリオスのマイルで実績ある牡馬勢が来る。
やはりそんな中でも昨年秋から今年春まで十分な休養を取り、前走で良い調整のできたニッポーテイオーが前評判でも断然だった。

ウィンドサッシュは引き続き横平。
若手特有の粗はあるが、G1勝利して関東の若手の中ではトップクラスの評価を受けている。
ただ若手に勢いのある関西と違い、関東はベテランが元気だ。
ニッポーテイオーの郷家もそのベテランの一人。
剛腕と称され、馬を追わせれば日本屈指とも言われている。
剛腕のイメージと強気な騎乗で誤解されがちだが、フェアでクリーンな騎乗をするタイプで、先行抜け出しの競馬を最も得意とする。
その意味でニッポーテイオーは人馬共にベストパートナーと言えた。


ウィンドサッシュは落ち着いた雰囲気の中に闘志を秘めたいい状態でレースまで迎えられた。
そしてレーススタート。

ニッポーテイオーが抜群のスタートを決めハナに立っていく。
ミスターボーイとガルダンが2番手で並び、その直後にダイナアクトレス。
ウィンドサッシュはさらにその背後につけた。
それをホクトヘリオスが追いかける展開。

先頭を走るニッポーテイオー。
マイラーとして現役最高峰のスピードを持ち、なおかつ中距離を走りきれるスタミナも持ち合わせている。
切れる脚こそ無いものの、自分でペースを作る事ができるのが最大の強みだった。

今回も自分のペースに持ち込んだニッポーテイオー。
鞍上の郷家もここまで完璧なレース運び。
切れ味ある牝馬2頭の脚は怖いが、ニッポーテイオーなら十分粘れる。

『ここは通過点』
郷家の脳裏にある2頭の芦毛馬。
彼らが後ろに控えて追いかけてくると想定して走っていた。
その2頭にすら差し切られない自信はある。
だから尚更このレースに負ける訳にはいかない。

大欅を過ぎてやや早めに動くダイナアクトレス。
ニッポーテイオーは先頭を快調に走る。
直線に入ってもニッポーテイオーが先頭。
突き放すように郷家が追っていった。

突き放すニッポーテイオー。
ダイナアクトレスも迫るが差は詰まらない。
大外からフレッシュボイスの豪脚もまだ遠い。
そんな中、やや遅いタイミングで追い出したウィンドサッシュが馬群から抜け出してきた。

直線で若干前が壁になって立て直すロスが発生し、馬群を抜けるのが遅れた。
それでもリカバリーするように豪脚で逃げるニッポーテイオーに迫る。
3馬身、2馬身…

それでもニッポーテイオーの脚が止まる気配はない。
ウィンドサッシュが1馬身、あと半馬身…そこまで迫ったところがゴール。

1着ニッポーテイオー、2着ウィンドサッシュ。
しかしその後ろは離れた。
郷家は勝っても派手なガッツポーズはせず、淡々とウイニングランを済ませ装鞍所に引き上げてくる。

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