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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 247

先行馬が一気に動いたことでレースの流れが一変する。
直後にいたフリートークがまず動き、人気馬ではアラホウトクがこれはチャンスとばかりについていく。

ペースアップした先行各馬は徐々に苦しくなり、アインリーゼンが先頭に立っていくとそれ以外の馬は後退、失速していく。

直線に入りアインリーゼンが抜け出す。
末脚勝負となると不利なアインリーゼンだけに、ここでどれだけ距離を作っておけるかが勝負だ。
それに追随する馬はいない。
垂れた先行馬を避けながらコース一杯に広がり、タイミングを伺っていた。

アインリーゼンが一頭抜け出す中、残り300mに迫ろうとする辺りでようやく動きが見える。
フリートーク、アラホウトクが仕掛けて追走。
そこから少し遅れてオータムリーヴス、シヨノロマン、そしてプラニフォリアが同時に仕掛けたのだ。

これはお互いが意識したのではなく、それぞれの事情によるものだった。
中団の良い位置で仕掛けられた悠とオータムリーヴス。
垂れた馬の為に外に持ち出したタイミングで仕掛けた澪とシヨノロマン。
そして、最内で馬群をこじ開けて仕掛けた的家。
差は無い位置からの仕掛けだったが、その位置取りが明暗を分けた。

伸びるオータムリーヴスとプラニフォリアが瞬く間に先頭を捉える一方、シヨノロマンは伸び切らない。
それどころか、大外から物凄い脚で上がってきた馬に差されてしまう。

それが熊崎のコスモドリーム。
さらに大外からはマルシゲアトラスまで伸びてくる。
シヨノロマンはそんな中で伸びあぐね、澪は唇を噛んだ。

前の争いはアインリーゼンを捉えたオータムリーヴスとプラニフォリア、そして猛然と追い上げたコスモドリームの3頭がゴール前で横並びとなった。

ゴールを駆け抜けた時、その3頭に差が出た。

最適なポジションとコース取りをしながらも、最後はスタミナがギリギリだったオータムリーヴスが3着。

大外から怒涛の追い込みをしながらも、外を周り過ぎた為に届かなかったコスモドリームが2着。

そして・・・
最短距離を通り、最後まで脚を残したプラニフォリアが1着でゴール。
クールな的家が会心の差し切り勝ちに普段見せないような笑顔を見せた。

樹里にとってはラモーヌに続くオークスの制覇。
しかも桜花賞のオータムリーヴスと合わせての変則二冠となったのだ。


その次の週。
目黒記念でプチソレイユは3着。
中々良い競馬をしたものの、仁藤は宝塚記念を回避。
夏のローカルシリーズに向かわせる事にした。
これは、プチソレイユが夏に向けて体調が上向きなのと、将来の繁殖入りを見越して一つでも勝たせてやりたいと言う考えからだった。
予定としては函館記念から札幌記念の北海道シリーズをこなして、秋のエリザベス女王杯に向かうと言うプランだ。

そしてリトルウイングの方は宝塚記念に向けての調整は順調。
適距離でタマモクロスと再戦するのに十分な調整を続けていた。


一方、ダービーでは2歳チャンピオン、サクラチヨノオーが勝利。
だが、ファンの反応はオグリキャップなきダービーと言う事で染まってしまっていた。
ここにオグリキャップが走っていたら・・・
そんなファンの思いだけが競馬場に渦巻いていた。
結局、制度改正には至らず後味の悪いものになってしまったのだ。

一方、オグリキャップの方は春の連戦もあって疲労も見えていた。
食欲は落ちないものの、NHKマイル後は疲労もあり体重減。
圧勝はしたものの、明らかに切れ味が落ちていたと騎乗した澪も感じていた。
それを受けて瀬戸内も体重が落ち着いていれば秋まで休ませるつもりでいたのだ。
そして、秋は天皇賞で古馬と対戦させていく・・・
瀬戸内が見る所、古馬でもオグリキャップと互角に戦える馬はそうはいないだろう。

そのオグリキャップに対抗できる古馬の一頭が安田記念に出走する。
マイルの帝王ことニッポーテイオーだ。

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