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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 246

混合レースでも一級品牡馬達と互角に戦えているウィンドサッシュとダイナアクトレスは、牝馬限定戦では抜けた存在だった。
どちらの陣営も春の最大の目標を安田記念に定めており、このレースはG1であれどステップレースでしかない。

そのレースは瞬発力勝負を制したウィンドサッシュに軍配。
接戦まで持ち込んだものの、ダイナアクトレスは惜敗。
3着は5馬身離れる事実上のマッチレースで幕を閉じたのだ。


そして5月も半ばを過ぎ、クラシックレースは第二戦目に突入する。
まずは牝馬、オークスが行われる。

人気は桜花賞上位組がそのまま占める。
これは例年そうであるから当然とは言え当然だ。
競馬ファンがその中で注目するのは桜花賞回避組。
フラワーステークスから直行のプラニフォリアだ。

的家が惚れ込んだ逸材・・・
6番人気ながら、地面に躍るその表現が競馬ファンを惹きつける。
あえて距離の短いレースを使わなかったと言う陣営の声も、その評判を後押ししていた。

父のリアルシャダイはこの3歳世代が初年度産駒だがここまでそこそこの成績を残している。
距離が延びてこそと言われる評判。
プラニフォリアのほかにもフリートークが穴人気していた。

一方、オータムリーヴスは桜花賞馬として堂々の1番人気。
未知の挑戦者を陣営も迎え撃つ体制で気合が入っていた。

距離の不安が囁かれるものの、母系は比較的スタミナ豊富な血統である事から、大崩れはないとの評価だった。

そんな中、引き続きシヨノロマンに乗る澪。
本馬場に入り待避場で熊崎の側に馬を寄せる。

「調子良さそうですね」
「まあね、上位狙えそうやわ」

控え目に言うが口の端は笑っている熊崎。
若手の中でも熊崎はそう勝てている訳では無いが、ここ一番の集中力は物凄いものがある。
天皇賞でも堂々と逃げてプチソレイユを好順位まで持ってきたのもその集中力あっての事だ。

その熊崎の騎乗するコスモドリーム。
血統こそ見る所は無いが、一発の豪脚があるのを調教やレースで澪は見てきていた。
東西の情報がそう多くないから人気こそ全く無いが、この馬も警戒すべき馬として、澪の頭の中にはあったのだ。

そんな澪に対して、オータムリーヴスの悠は泰然自若。
一番人気のプレッシャーなど全く見えない。
むしろリラックスしている大物ぶりだった。
そのオータムリーヴスと悠を横目でずっと見ているのがプラニフォリア騎乗の的家・・・
意識しているのが見て取れた。

(やはりあの馬はいいな。間違いなく彼女がライバルだ)

的家はオータムリーヴスをじっくり観察しながら、理想のレースプランを思い描く。
対するオータムリーヴスの悠はさほど気にせず馬の気のままに待避所に向かわせていく。


フルゲートの一戦。
揃ってゲートを出ると、先頭を奪ったのはスルーオベスト。
リキアイノーザン、マイネレーベンと続き馬群がややばらける。

有力どころではオータムリーヴスが8番手あたり。
アラホウトクが中団、その後ろにシヨノロマンとプラニフォリア。
コスモドリームはさらに後方のグループだ。

オータムリーヴスの悠の作戦は余り前過ぎず、さりとて後ろ過ぎない位置・・・
それでいて息を入れて切れ味を最大に活かせる位置と言うやや難しいミッションをこなせるのがこの辺りと8番手辺りの最内に位置した訳だ。

シヨノロマンの澪はその後方で馬群の真ん中、その内側にはプラニフォリアが位置していた。
どちらも折り合い良く走っているが、特にプラニフォリアは馬群の中に溶け込むように折り合い良く走っていた。

前半は平均ペース。
淡々とスルーオベストが引っ張り、リキアイノーザンが続く。
やや長い馬群だが、中団はやや詰まり気味で3コーナーへと向かう。
ゆったりと広大な東京コース、コーナーでの争いは激しくならない傾向がある。
今回もさほど中団では動きは無い。
だが、動いたのは先頭集団・・・
アインリーゼンがマイネレーベンを交わそうと馬体を合わせると、マイネレーベンがそれを嫌い加速。
その2頭が先頭2頭に近づくと、スルーオベストが嫌がるように速度を上げ、リキアイノーザンも離されないよう食らいつく。
アインリーゼンの動きで、一気にペースが上がっていったのだ。

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