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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 245

プチソレイユも決してスタミナ切れしたわけではないが、早めに2頭に来られた分やや苦しくなる。
熊崎の動かす手綱が徐々に大きなアクションになる。
対するランニングフリーの菅山、メジロデュレンの村松のほうはまだまだ余裕ありと言ったところ。

前が動くのを見て、リトルウイングも進出を開始しようと考える。
澪が構えて見せ鞭をするとリトルウイングにも気合が入る。そして加速。

直線に入るとメジロデュレンとランニングフリーがプチソレイユを交わし突き放しにかかる。
追いかけるリトルウイング。
いい伸びを見せるが、後ろからそれ以上のものが迫っていた。

それはタマモクロス。
南の鞭と剛腕に応え、凄まじい勢いで加速する。
それはまさに白い稲妻だった。

だが、リトルウイングも速い。
スタミナも十分で、鋭い伸び脚でメジロデュレンとランニングフリーを差し切り先頭に立つ。

澪としては完璧な騎乗。
タマモクロスより先手で仕掛けて先に抜けさえすれば勝てる・・・
懸念のスタミナも問題無いなら、決して負けはしない。
残り100mで先頭に立ち、澪は勝利を確信していた。

だが・・・
外からリトルウイングを交わす馬。
タマモクロスだった。
澪の目が驚愕で見開かれる。
リトルウイングの脚は衰えていない。
現役馬でも屈指の切れ味なのは澪も自負しているリトルウイングだ。

そのリトルウイングをいとも簡単に追い抜いたタマモクロス。
澪の記憶にそんな事が出来る馬は一頭しか浮かばなかった。
そう、澪の記憶にある怪物・・・
オグリキャップと勝るとも劣らない末脚を炸裂させたタマモクロスがリトルウイングを交わして先頭でゴールしたのだ。

強い。
リトルウイングも強さを見せて良く頑張ってくれたが、タマモクロスがそれ以上に強くて速かった。

「ウチの芦毛も強いんだぞ、って言うアピールができたね」
レース後に小沢調教師はそんな風に記者に語った。

プチソレイユの方は6着。
ゴール前で最後方から猛然と追い込んできたマウントニゾンにも交わされたが、牝馬で過酷な長距離を走ってのこの結果は大健闘だよ、と松山が褒め称えた。

熊崎の方も落胆は無く納得の顔。
全力を出し切っての敗戦だから悔いは無い。

そのプチソレイユは次走を目黒記念を予定。
そしてリトルウイングは宝塚記念でタマモクロスと再戦する予定となった。


天皇賞の激闘が終わった頃、更なるアクシデントが起こった。
ダービーに向けて調整中のスーパークリークが骨折。
重度では無いものの、春シーズンの予定は白紙となったのだ。

スーパークリークが故障で休養になる一方、天皇賞の次週のNHKマイルカップ。
圧倒的な一番人気となったオグリキャップ。
そしてレースも圧倒的だった。

先週のタマモクロスの鮮烈な勝利を塗り替えるような圧勝劇。
この2頭の芦毛馬の対決を心待ちにするファンで競馬界は盛り上がるのだった。


その次の週はヴィクトリアマイル。
ウィンドサッシュが出走する。

高松宮記念を勝って堂々の1番人気。
最大のライバル、ダイナアクトレスとも何度目かの対戦で人気を二分する形に。
その後にはコーセイやマヤノジョウオが続く。

彼女とともに成長し腕を上げている横平にも自信の表情が現れていた。

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