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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 242

その桜花賞、樹里所有のオータムリーヴスが出走する。
2歳女王、トライアルを勝って堂々1番人気に推されている。

寛子はオータムリーヴスは当初マイラーではないかと思って桜花賞からNHKマイルカップのプランも思い描いていた。
しかし主戦の悠の進言や血統的な観点から距離が延びても大丈夫だと判断してオークスへの「正統派」ローテを選択した。

「さすがのあの子でも芦毛の怪物くんに勝つのは厳しいよね」

同じ栗東であるから普段のオグリキャップの調教も見ている。
あれは寛子も滅多と見ないぐらいのポテンシャル・・・
栗東の調教師達の中でも話題になっていた。

あのポテンシャルに対抗できる馬は何頭いるのか・・・
調教師達の中でも色々言われてきているが、その中に仁藤厩舎のスーパークリークも入っている。
現時点ではオグリキャップの方が上だと言われているが、まだ底を見せていないスーパークリークも評価は高まっている。

それ以外にも、小野田厩舎のサッカーボーイ。
ウィンドサッシュの全弟で、2歳チャンピオンのこの馬もオグリキャップと競り合える素質と言われていた。

そして古馬でもオグリキャップ級に話題となる馬がいた。
小沢厩舎のタマモクロスだ。

クラシックにも縁が無い只の条件馬だったが、年末に重賞を勝つと連勝を続け、阪神大賞典を勝利して一躍天皇賞の最有力馬に名乗りを上げていた。
猛烈な追い込みで勝利する様は、白い稲妻の異名を持つ父のシービークロスを彷彿とさせると言われるまでになっていた。

オグリキャップと同じ芦毛の馬体、ファンやメディアはタマモクロスとの「芦毛対決」を望む声が早くも飛び出す。
そしてタマモクロスはGT連勝を目指すリトルウイングにとっても最大のライバルになるだろう。

さて、桜花賞。
トライアルも制した2歳女王オータムリーヴスは断然の1番人気。
続くのがフィリーズレビューを勝ったスカーレットリボンで2歳時に無敗のまま一時休養したスイートローザンヌがそれに続く。

もちろん人気馬も注目だが寛子が警戒しているのはシヨノロマンとアラホウトク、庄田厩舎の2頭だった。

特にシヨノロマンは鞍上を勢いがある澪が担う。
オータムリーヴス鞍上の悠とは、今年のリーディングを激しく争う2人の対戦が続くだけに注目されている。
特にシーズン始まってから、ほぼ毎週のように澪と悠でリーディングトップが変わる状況。
これまでリーディング常連だった関東のベテラン達を寄せ付けていないのも新しい風潮だった。

それだけではない。
ここ最近、馬も関西所属が好成績を挙げている。
坂路調教が関西では主流になり始め、重賞の大半を関東馬が勝っていた時期から変わりつつあった。

そんな中で行われる桜花賞。
レースはアイノマーチが逃げ、リキアイノーザン、スカーレットリボン、マイネレーベン、シヨノロマンが続く。
オータムリーヴスは中団より少し離れる後方集団に位置していた。

ペースは若干早め。
これは戦前の予測通り。
オータムリーヴスと悠にとっては好都合な流れとなっていた。

3〜4コーナーで逃げるアイノマーチにリキアイノーザンが並びかけると、さらにペースが上がる。
スカーレットリボンやマイネレーベンがそれを追うが、思いの外手ごたえが良くない。

それらを一気に交わしていったのがシヨノロマンだった。
澪が追い出しを始めるとその叱咤に応えるようにグンと伸びる。
その抜け出しを許すまいと追いかけるフリートーク、アラホウトク。
オータムリーヴスは馬場の外から追い込む。

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