PiPi's World 投稿小説

駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 23
 25
の最後へ

駆ける馬 25

澪とシロノライデンにとって、目下のライバルはこのゴールドウェイだ。
同じ追い込み脚質であり、神戸新聞杯では先着したものの、あの怒涛の追い込みは肝を冷やしたぐらいだ。
ゴールドウェイはシロノライデンのようなロングスパートするには脚が足りないが、トップスピードまでの瞬発力に関しては現役競走馬でもトップクラスとの呼び声もあった。
典型的な上がり3ハロンで勝負する馬だった。

そしてゴールドウェイに乗る騎手は追い込みを得意とする剛腕・・・
器用なタイプではないが、追い込ませたら確実に上位に食い込んでくる名手でもある。
その上、豪快に見えて戦術的な面もあって、今もシロノライデンを後ろから牽制するような動きをしていた。
つまり、ゴールドウェイ陣営にとっても目下の敵はシロノライデンと言う訳だ。

後方でそんな小競り合いがある中、先頭集団は軽快にラップを刻んでいた。
シンボリルドルフを誰もが意識してはいるが、G 1屈指のマラソンレースでペースは上げれない。
シンボリルドルフ自身の強さもそうだが、跨るのは日本屈指の名騎手・・・
絶好の位置取りで満を期していた。

レースは2周目のアップダウンから一気に動き出す。
軽快に逃げていたロングハヤブサに番手の先行勢各馬が差を詰めて迫ってくる。
まずリキサンパワー、さらにカルストンイーデン、ラッシュアンドゴー。スズマッハもそれに続く。

ロングハヤブサは世代屈指のスピード自慢だが、さすがに3000という距離はこの馬には長いようで2周目の下りあたりからズルズル後退してしまう。

そんな中、シンボリルドルフは馬群の中団に埋もれていた。
文字通り埋もれていると言う表現がぴったりで、息を潜めるように先頭争いを尻目に自分のペースを保っていたのである。

その位置は澪からでも見えた。
この時、澪の中で決まった戦術は、最終3コーナー辺りから外に持ち出してペースを上げ4コーナー辺りでルドルフの外側横に進出。
上手くいけばルドルフを馬群の中で身動き取れなくできるし、抜け出せたとしてもトップスピードに乗ったシロノライデンならいい勝負できる筈と思っていた。
それだけでなく、澪の最もマークするゴールドウェイの豪脚を考えれば、若干早めの仕掛けしかないと思っていた。

そんな3コーナー。
澪が動く。
掟破りに近い京都の坂を加速して登り、中団に迫っていく。
シンボリルドルフの前は壁。
そして横をブロックするように澪がシロノライデンを導いた。

ゴールドウェイは動かない。
最終直線まで脚を貯める戦術は神戸新聞杯と変わらないのだろう。

先頭はリキサンパワー。
スズマッハが外から並びかけ、さらにフォスターソロン、ハーバークラウン、サクラトウコウといった中団あたりから動いた馬たちが我先にと先頭に並ぼうと押し上げる。
シロノライデンはスイッチが入ってそのすぐ外まで並んできた。
坂を下って一気にスピードに乗って、4コーナーでは先頭を奪う勢いでやってきた。

だが、シロノライデンの内側ピッタリに合わせてくる馬があった。
それは他でもないシンボリルドルフだった。

一瞬前が壁になったシンボリルドルフだったが、シロノライデンが外から先行馬をまくるその間隙を突いて隙間にねじ込んできたのだ。
これで前を遮るものは無かった。

だが、ここからグングンと加速していくシロノライデン。
もしかするといける・・・
澪もそう思って最後の直線に入る。

並んだままのシロノライデンとシンボリルドルフ。
半馬身程シロノライデン先行で最後の直線。
トップスピードに入り、先行馬を競り落としていくシロノライデンだったが・・・
シンボリルドルフが少しずつ差を縮めていた。

澪が必死で鞭を振るう。
トップスピードのシロノライデンは決してスピードが落ちた訳ではない。
隣のシンボリルドルフが加速しているのだ。
グイグイと差は縮まり、シンボリルドルフの馬体がシロノライデンの前に・・・
澪が必死で追うが差はどんどん開いていく。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す