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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 234

メジロゴスホークがぴったり2番手で続き、さらにスピードヒーロー。
悠もしっかり折り合いを利かせて好位のポジションで運んでいる。

3コーナーから、淀の名物の下り坂で馬群が一気に凝縮される。
スピードヒーローが若干押し上げ、カシマウイングも外目から進出を開始する。
リトルウイングはというと、澪の手綱はまだ動かない。

その後方のマヤノオリンピアも動かない。じわっと動いたのはダイナカーペンターで、リトルウイングの外に並びかける。

それでも澪は焦らない。
4コーナーの下りをあえて何時も以上にゆっくりと下り、直線で少し外に持ち出す。
そこは荒れていない綺麗な馬場。
直線に入りゴーサインと共にリトルウィングが跳ねる。

先頭集団は粘るメイショウエイカンにスピードヒーローが並びかける。
悠の鞭に応え、ジリジリと差を詰めていく。
そこに良い脚で絡んでくるのはカシマウイング。
グングンと加速すると先頭2頭のすぐ後ろまで詰めてきたのだ。

スピードヒーローがジリジリとメイショウエイカンを抜き去り、カシマウイングがそこに迫る。
そのまま抜き去る勢いで迫るカシマウイングだが、スピードヒーローも粘る。
半馬身程追いつかれた所でスピードヒーローが盛り返すが、カシマウイングも更に追い差を詰める。

その外を猛然と追い込む馬。
リトルウィングが残り100mでその後ろまで迫ってきた。

勢いが違う。
ゴール手前でカシマウイングとスピードヒーローの2頭を捕まえて、最後は半馬身抜け出して1着。
明け4歳の初戦を勝利で飾った。

クラシックではあと一歩の競馬が続いていてこれも久しぶりの勝利。
これで馬にとって弾みがつけば何よりだと澪は感じていた。

次走は大阪杯。
この勢いなら悲願のG1制覇もいける気がしていたのだ。


その次の週は阪急杯。
あえて遠征してウィンドサッシュが挑む。

高松宮杯はウィンドサッシュにとっては少し短いのだが、今年の短距離界のメンバーを考えると狙えるタイトルだと奥原は感じていた。
それと、横平に勝たせたいと言うのもある。

同じ若手で飛ぶ鳥落とす勢いの澪や悠に比べて、横平は出遅れた感がある。
自分の甥である贔屓を抜いても、彼らに全く及ばないとは奥原も思っていない。
それだけに横平には彼らの中に割って入って欲しいと言う思いがあった。

そんな阪急杯の一番人気はマックスビューティ。
その後にウィンドサッシュ。
そこにセントシーザー、ワンダーレジスト、ミスターボーイと続く。

マックスビューティはクラシック二冠馬。
セントシーザーやミスターボーイは短距離路線で活躍してきた古豪。
ワンダーレジストはウィンドサッシュと同世代の上がり馬だ。
大本命のマックスビューティだが、1400mは若干短い感じがあった。

有馬記念で初めての大敗を喫し、迎えた今年の始動戦である。
陣営は距離的な限界を感じてここを初戦に選んだようだが、仕上がりなどを見て奥原は「絶対に勝てない相手ではない」と思っていた。

ここは次に向けてベテランの短距離ランナーとの力比べになる。

最内枠のミスターボーイが好スタートから先手を取る。
セントシーザーがそれをマークして2番手。
ウィンドサッシュは先行勢を見る形で、マックスビューティは中団から。

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