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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 226

エリザベス女王杯でも取った果敢な作戦。
ただ、レジェンドテイオーの郷家も引くところは見せずに2頭が並んで残りの14頭を引っ張る…そんな展開になった。

2番手にはミスターブランディ、さらにダイナアクトレス。

サクラスターオーは後方。
その隣に並ぶメリーナイス……だが、そのメリーナイスの鞍上には誰も乗っていない。
スタート直後に躓き、鞍上の根来が落馬してしまったのだ。

ダービーを勝った馬だけに、騎手がいなくてもちゃんと追走してレースをしようとしている。
だが、残念ながらこのまま走っても順位に反映はされない上に、騎手が乗ってないからこそナチュラルに走行妨害とかされかねない。
前方から後方までスタートから波乱の様相となっていたのだ。

そしてレースを引っ張る澪とプチソレイユ。
レジェンドテイオーの鞍上の郷家の性格は、逃げ宣言して譲るタイプでは無い。
それを知っていて喧嘩をあえて仕掛けたのだ。
なので澪の横の郷家の顔は鬼の表情だった。

当然譲る気のない2頭が争えば、ペースはどんどん上がる。
レジェンドテイオーにとっては辛いだろうが、プチソレイユはやや余裕がある。
だからこそ挑んだ喧嘩と言う事だ。

「控えたらどうですか!?」
「黙れっ!小娘っ!!」

職人気質の勝負師の郷家はやや熱くなりやすい気質でもある。
それが長所でもあり短所でもある。
そしてそんな性格だから怒鳴り返される。
それを分かっててやる澪もリーディングを取るだけの事はあった。

郷家も不快な気は抱きつつも澪の腕前は認めている。
澪の時に強気過ぎる騎乗は美浦の関係者からも高い評価をされている。
ライバル陣営からしたら危険人物でしかないだろうが。

プチソレイユとレジェンドテイオーの競り合いが続いたまま各馬が1周目の直線を通過。
逃げ2頭と2番手ミスターブランディとの差がどんどん開いていく。

嫌な展開になったと郷家が呟く。
長距離戦らしいスローな逃げに持ち込んで、あわよくばを狙うと言うレジェンドテイオーのプランは崩壊している。
だから引くかと言われればそうではない。
売られた喧嘩は買う。
それが郷家の乗り方だ。

故に2頭で競ってペースが上がってしまっている。
このペースは明らかにレジェンドテイオーには酷ではある。
だが、下がれば差し返す脚を持っていない。
つまりプチソレイユと競り合って心中するしか無い訳である。

それならばと郷家は切り替える。
彼もベテランであり長年関東でリーディング争いしてきた名手だ。
強気なだけで生きてきた訳でない。

1コーナーに差し掛かっても郷家はレジェンドテイオーの手前変えをあえて行わなかった。
つまり、この早いペースの中でも温存策を取ったのだ。
この辺りはベテラン故の妙手だった。

一方の澪だが、特にペースを落とすことは考えずに向こう正面から勝負どころの3コーナーまで持っていく。
プチソレイユがこの強豪メンバーを相手に勝てるとは思っていない。
それだったら思い切った競馬をしてとにかく見せ場を作って、やれるだけのことをする。

2頭が作り上げたペースの中で一発を狙っていた伏兵たちが中団、後方から徐々にポジションを押し上げていく。
ハシケンエルド、ユーワジェームス、メジロデュレン。

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