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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 211

フェートノーザン鞍上の安堂はこれまでも同じレースで対戦経験があるが、どうも食えない性格で何を考えているのかよくわからない。この作戦もいつ思いついたのか。
ワカオライデン鞍上の井之上は今回が初めて相対する騎手。笠松移籍後はこのワカオライデンにずっと騎乗している騎手なので、馬のことは知り尽くしているはず。

残りの距離が少なくなっていく中で、馬群はどんどん凝縮されていく。

そして3コーナー。
馬群が詰まった所で動きがあった。
それはガーベラの後ろ2頭、ワカオライデンとフェートノーザンだった。

仕掛けるには早いタイミングで2頭が同時に動く。
まさかこのタイミングで2頭同時に動くと想像してなかった澪・・・
結果、ガーベラは馬群の中で閉じ込められる事になってしまったのだ。

(やられたっ?!)

マークされてる感があったから、2頭の仕掛けはガーベラを見てやるのかと想像していた澪。
まさかガーベラ封じに壁を使って来るとは想像出来なかった。
全く抜け出す位置が見えないまま、レースは4コーナから直線へ・・・
笠松の直線はそう長くは無い。

直線に入った直後も前と左右は壁・・・
絶体絶命のピンチだった。

突き抜けるだけの手ごたえは間違いなくある。
しかしスペースがない。
ガーベラの頭の上げ下げが大きくなる。今の状況がかなりのストレスになっているのだろう。

窮地に追い込まれたガーベラを尻目に、外からフェートノーザンが抜け出しにかかる。
一緒になってワカオライデンも上がっていく。
ガーベラは内で閉じ込められたまま脚を余す格好になってしまった。

澪はまだ諦めていない。
騎手をやっていてこんな事態は何回も遭遇したし、アウェーとはこう言うものと地方遠征で知ったのもある。
そして、これをどうにか挽回してこその騎手だと自負もしていた。

彼女は待つ、その時を・・・
暫くして、その時は現れた。

少し開いた隙間をやや強引に割り込む。
中央でやるにはお行儀は良く無いが、地方の騎手なら必ず捻じ込んでくる間隙。
地方遠征で得たものだ。

無理矢理捻じ込ませれば女帝はやる事を理解している。
牡馬に負けないパワーで隙間をこじ開けると、グイグイと脚を伸ばしたのだ。

フェートノーザンやワカオライデンを振り切り、テツノカチドキを交わしたのがゴール手前。
そのまま先頭で駆け抜ける。
まさに女帝ガーベラの強さを際立たせた一戦だったのだ。

ガーベラの次走はチャンピオンズカップ。
そして、年明けのフェブラリーステークスがラストランとなる。

リュウノラモーヌは無事帰国して順調に調整中。
凱旋門賞の激戦後はさすがに疲れがドッと出て状態がガクンと落ちたが、その後は調子を戻すことができた。
予定通りジャパンカップに向けて軽く調教時計も出している。

オータムリーヴスは短期放牧を経てファンタジーステークスを完勝。
次は阪神ジュベナイルフィリーズ、舘は初GTのタイトルもかかるが彼はいたって平然としていた。

その翌日はプチソレイユがエリザベス女王杯で自身初のGTに挑む。

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