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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 209

同じプリンスリーギフト系のテスコボーイがトウショウボーイを出し、サクラユタカオーなどの活躍馬も現役で抱えているなど日本競馬に大きな影響を与えている血統。

「もうあと1勝くらい上乗せできたら、さらに価値が上がるだろうしね」

奥原は期待を持って大舞台に愛馬を送り出す。


ニッポーテイオーは今回も好スタートから先頭へ。
それについて行くのがレジェンドテイオー。
ダイナアクトレスが中団、ウィンドフォールはその後ろにつける。
フレッシュボイスは例によって最後方。

互いに手の内が分かっているもの同士。
とは言え、互いに戦術を変える事は無い。

そんなレースはニッポーテイオーが引っ張りレジェンドテイオーが追走。
レジェンドテイオーだけてなく、先行する馬がニッポーテイオーに競りかけないのでスローペースで落ち着いてしまう。
これは完全にニッポーテイオーのペースであり、澪とウィンドフォールにとっては良くは無い。

良くは無いのだが、さりとて追いかけてて詰めるのは悪手だ。
澪はウィンドフォールを馬群の最内に持っていく。
そして、気配を消し去るようにその一団の中をキープしていく。

そんな中、ニッポーテイオーは快調。
競りかける馬がいない事でスローペースに持ち込めたのが大きい。
スタミナにはやや不安があるものの、このスローペースなら押し切れる自信が郷家にはあった。
妹のタレンティドガールが2週間に大金星を挙げている。
それに兄も続けとばかり、郷家もこのレースに対しての意気込みは相当であった。

ニッポーテイオーは快調に飛ばして3コーナー、4コーナーの立ち上がりですでに一人旅の様相を築き上げる。
重馬場の芝も関係ないとばかりにスイスイと進んでいく。
2番手のレジェンドテイオーとの差がまた広がった感じすらした。

このままではまずい。
ウィンドフォールは最内からスッと3番手争いに進出した。
ついて行くのはウインドストース、アサカツービート。

ウィンドフォールの手応えは十分。
それは同時にニッポーテイオーの手応えも抜群と言う事だ。

大欅のあたりでニッポーテイオーに距離を詰める澪とウィンドフォール。
あえて郷家の視線に入るように追走させると、郷家もさすがにチラリと後ろを振り返る。
これでいい。
流石にすぐ後ろにつけられれば意識せざるを得ないだろう。

そして、長い府中の直線に馬群がさしかかってきた。
ここからが勝負だ。

郷家の鞭が振り下ろされ、ニッポーテイオーが加速して突き放そうとしてくる。
ウィンドフォールとそれに追随する。
やはりスローペースの結果か、後続の反応が随分と鈍いようだった。
残り300m地点でウィンドフォールがニッポーテイオーに並ぶ。
郷家が更に鞭を入れるとニッポーテイオーも負けじと加速する。
逃げるニッポーテイオー。
追うウィンドフォール。

2頭がびっしり馬体を併せる。
そして後続の馬たちとの差を広げていく。
3番手以降は粘るレジェンドテイオーと中団以降から脚を伸ばすアサカツービート、トチノニシキらの争いだが、それらが先頭のデッドヒートには届きそうもなかった。

お互いに一歩も引かない。
どちらかが前に出ることを許さない。

そのままニッポーテイオー、ウィンドフォール、2頭並んでゴール板の前を駆け抜けた。

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