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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 200

馬の能力もさることながら、この鞍上の冷静さときっちり仕事をこなしてくるところに、寛子は毎回驚かされていた。

「見事だね」
「ええ、とてもいいレースができました」

これが初重賞制覇とは思えない振る舞い。
インタビューでの堂々とした受け答えも聞きながら、寛子は改めてこの新人の凄さを思い知るのだった。

そして、プラニフォリアもクローバー賞を快勝。
どちらも年末の阪神ジュベナイルフィリーズに向けて調整していく事になる。


夏競馬の最後は新潟記念。
プチソレイユが出走し、2着と好走。
次走は京都大賞典に向かう予定だ。
そして秋競馬初戦はウィンドサッシュの京王杯オータムハンデ。
ウィンドフォールが中距離路線に行くのもあって、短距離路線はこの馬で行くと奥原がここに持ってきた。
ここを叩いてスプリンターズステークスに向かうプランを立てている。
だが、そんなウィンドサッシュを前に、G 3としては豪華なメンバーが集まっていた。

本命はダイナアクトレス。
2番手はアイランドゴッテスとトップクラスの牝馬2頭。
ウィンドサッシュはそれに次ぐ3番人気だが、ユキノローズやダイナシュート等、大半が牝馬を占める女の戦いとなっていた。

ウィンドサッシュの鞍上は引き続き横平。
脅威の新人、舘の勢いは関東でも話題になっているが、横平達若手もそれに随分刺激を受けている感があった。

関東は関西に比べてまだベテランの力が強いが、横平たちも着実に実力をつけて重賞騎乗を増やしている。

とはいえ今回の出走11頭では横平は騎手の中では一番年下。
しかし馬は出来もいいし次に向けても負けられないレースだった。

キッポウシが逃げ、アイランドゴッテスがそれを追いかける。
前に行きたい馬が集まったレースでもあるが、それにしても速すぎるペースで流れていた。

ウィンドサッシュと横平は焦らず後方から。
早いペースとなると予想していたのもあるが、それとしても後ろ過ぎるようにも見える最後方単独。
鞍上の横平には焦りは無い。

ウィンドサッシュは馬群に入れるとヒートアップする所がある。
それは欠点ではあるが、有り余る闘争心あっての事だ。
故に馬群の少ない所で折り合いをつけて、勝負所で馬群に入れるのが理想とも言える。
そう言う意味では後方で単騎なのは悪いことでは無い。

その勝負所の4コーナー。
ここで横平はウィンドサッシュにゴーサインを出す。
指示に敏感に反応したウィンドサッシュが馬群に取り付くと、横平は躊躇なく馬群の中にウィンドサッシュを飛び込ませた。

先頭はアイランドゴッテスが先頭を捉えて直線に向かう。
そして、直線では頭一つ抜け出していく。
それに競りかけるのはユキノローズ。

それを追いかけるダイナシュート。
前のアイランドゴッテスもよく踏ん張り、ユキノローズが並びかけてまた二の脚を使う。
しかし中山の急坂でそれも徐々にかなわなくなってくる。

そこを突いたのがダイナアクトレス。
名手岡江は内から鋭く脚を伸ばす。
さすがは名手、と思わせる勝利かと思った瞬間、ゴール前で矢のように飛んできた馬が一頭。
ウィンドサッシュだった。

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