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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 195

奥原と澪が話す所から離れた所で、祐志と共に来た樹里は久しぶりの再会を果たしていた。
スノーベリー牧場のアネットと、ホームステイ中の奈帆だった。

お腹の大きなアネットと15歳になって綺麗で女らしくなった奈帆。

「樹里さん!お久しぶりです!」
「まあ!?大きくなったわね」

再会を喜びながらも、受け入れてくれたアネットにも礼を言う。
今回、ラモーヌの遠征でも随分世話になっていた。

「私はこの通りのお腹だから何もしてないけど、ナホはラモーヌの調教にも参加していたわよ」
「そうなんですね・・・牧場でも随分可愛がっていた仔ですから」

アネットはこれで8人目らしく、一番上の子は奈帆と同い年のようだ。
思わずそのアネットの大きなお腹と祐志の顔を見比べる樹里だった。

「センスもいいし賢い子だわ・・・だから全てを仕込んでいるわ」
「そう言われると期待しちゃいますね」

流暢な英語で喋る奈帆を見ながらアネットと樹里は微笑む。

思えば、初めて涼風ファームに足を踏み入れて最初に出会ったのがラモーヌであり、奈帆だった。
そんな彼女がラモーヌの調教に参加しているとは。

奥原にも「この仔は絶対に売らない!」と楯突いていたのが昨日のことのように思い出され、懐かしさも感じる。

「そろそろ帰国させて、ジョッキーを目指すなんてのもよさそうだな」
「まあ奈帆ちゃん次第よね」

そんな他愛も無い話をしたが、奈帆本人によると牧場を継ぎたい意志が強く、まだ留学を続けたいと言う事だ。


そして、レースの行われるアスコット競馬場だが、かなり特殊な形をしている。
広大な三角形のコースで、コーナーが3つしかない。
スタンド前の直線の奥のポケットからマイルの直線レースも可能だ。
キングジョージの2400mは1コーナー回った先からのレースで、やや急角度な2つのコーナーを回ってゴールとなる。
この特殊な形状を理解して走る事が重要であった。

難しいのはコースだけでなくペースもだ。
日本の平均ペースはヨーロッパではハイペース。
その遅さに焦れてペースを上げると、必ずバテる。
かと言って後ろで控えると、深い芝に脚を取られて加速しない。
日本の馬がヨーロッパで惨敗続きなのも、この日本と全く違うタフでパワーを要求される環境だからなのだ。

ただ今回はリファランスポイントが逃げる事で普段よりはペースが早いのは間違いない。
それ故に余計にタフさを要求される事になるだろう。

頭数は少ないので日本のレースのように馬群に揉まれることはないが、それとは違う難しさがある。

いつも通りにすんなりスタートを切ったラモーヌ。
他馬の様子を伺いながらじわりと位置を上げて先行態勢をとる。

レースは予想通りリファランスポイントが先手を奪って軽快に逃げていく。

競りかける馬もいるが、お構い無しにペースを上げる。
それでも日本に比べると早いペースでは無いのだが、今日の渋い馬場も相まってより一層タフなレースになりそうだった。

ラモーヌはアカテナンゴやセレスティアルストームと並んで2番手グループ。
その後ろのグループにトニービン、最後方グループにはムーンマッドネスとトリクティプが位置する。

これは予想できた展開だった。
ラモーヌも特に脚元を気にする事なく走っている事に安心する。
サウジやドバイで欧州勢とやり合って、ある程度ラモーヌならやれそうと自信は持っている。
後は澪が落ち着いてやれるかどうかだ。

最初のコーナー。
見た目よりキツくは無かったものの厩務員カーブには違い無く、やはり横Gは感じてしまう。
こう言うロスが少しずつ体力を削っていく訳だが、アスコット初騎乗の澪だけにロスを消すまでは出来なかった。
地元の騎手達は流石と言う感じてコーナーを曲がっていき、ラモーヌは位置を少し下げてしまっていたのだ。

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