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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 190

ダービーの熱狂冷めやらぬ府中の最終レース、目黒記念。
澪はダービーの無念を少しでも晴らそうと意地を見せた。

プチノワールは初めての遠征と長距離のレースをものともせずに見事な勝利。
こちらも充実期に入っていた生粋のステイヤー、マウントニゾンに競り勝った。

直線ではいい脚を使ってきっちり勝てた。
成長期に入ったのか、一戦一戦強くなってる雰囲気もあった。
これで一旦休養に入り、秋に大きなレースを目指す事になる。


ダービーと言う競馬界の大きな区切りが終わった後も大レースは続く。
春のマイル王決定戦の安田記念だ。

力をつけてきたニッポーテイオーとウィンドフォールの対決がクローズアップされるこの一戦。
他にもフレッシュボイス、スズパレード、アイランドゴッテスなどマイルの強豪が揃い踏みだった。

前回こそニッポーテイオーに負けたものの、実績からウィンドフォールが一番人気。
だが、ニッポーテイオーとの差はあまり無い。
評論家の予想もそれぞれに分かれ、この二頭の一騎打ちになるのではと言われていた。

京王杯からウィンドフォールも順調に仕上がっている。
スピード能力ではニッポーテイオーに負けているとは澪も思っていない。
ただ、やはりニッポーテイオーの先行力は脅威ではある。

週末の府中は雨。
安田記念の直前に小雨にはなったが発表は重馬場。
これだと後方から行く馬には不利な条件となる。
ウィンドフォールは道悪がマイナスにはならないと澪も奥原も考える。

真ん中の枠からニッポーテイオーが好スタートを切ってハナに立つ。
その直後の先行好位勢がかなりひしめき合う状態でアイランドゴッテスとコンサートマスターを筆頭に集団を形成。
ウィンドフォールはその集団のすぐ後ろにつける。

ニッポーテイオーはマイルだけでなく中距離までこなせるスタミナを持っている。
逃げても充分にスタミナを残すのは間違い無い。
なので澪の戦術としては、どのタイミングでニッポーテイオーを捉まえに行くかになる訳だが、その中で直線勝負はやりたくない。

これはニッポーテイオーとウィンドフォールのどちらも抱える弱点なのだが、一気に交わせる瞬発力は無い。
つまり、競り合い勝負に持ち込みたい訳で、余り早めにニッポーテイオーを捉まえに行くと、ペースが上がって後方の瞬発力のある馬達との勝負になりかねない。
つまり、早すぎても遅すぎてもいけないと言う難しいレースになる訳だ。

「面白いじゃない」

そう呟けるだけ心に余裕がある。
既に何度もG1を制し、リーディングトップを走る実績が澪に心の余裕を与えていた。
ニッポーテイオーの作り出すペースは平均に近い。
これなら直線に入る直前に捉まえれる位置に持って行きたい。

ニッポーテイオーは軽快に逃げる。
多少重くなった馬場でもその足取りが鈍ることはない。
ウィンドフォールも道悪は苦手ではない。
前にコンサートマスター、サクラサニーオー、ダイナアクトレス、スズパレードといった実力派集団を置きながらじわじわと差を詰めていく。

そうして4コーナーにはニッポーテイオーの背後まで迫ってきたのだ。

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