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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 188

牝馬三冠を達成した昨年からさらに馬体が逞しくなり、パワーもかなりついた。
それでいてフットワークは軽く直線で瞬発力を発揮する。
中東の2戦で強豪に揉まれたことで精神面も強化された。

今日のレースではすんなり好位から構えることにした。

その想定通りにスタートして、好位につけて直線で抜け出し突き放す。
牝馬限定であるが、G1をあっさりと制してしまった。
これで本場のヨーロッパ遠征の弾みがついた。
澪も勝利どうこうより、内容を見て海外遠征への自信を深めたのだった。


馬の調子を含めて、宝塚記念を使うプランも奥原の頭の中には勿論あった。
だが、過酷なヨーロッパ遠征とあって、万全を期する為に宝塚記念は回避。
現地に早めに渡る事にした。

それと言うのも、キングジョージ遠征を決めた奥原の話を聞いた樹里が、エリックと相談した所・・・
エリックの姉のアネットと久々に話す事になった事から始まったのだ。
「それならトリプティクの厩舎に手伝って貰うといいわ・・・あそこは遠征のスペシャリストだからね」

意外な名前を聞いた樹里は驚く。

「トリプティクの馬主が破産してウチで買い取ったのよ・・・だから融通利かせれるわよ」
「そう言う事なのね」

それで納得できた。
しかしあれだけの名馬を持ちながら破産とは・・・
それだけ遠征が大変だと言う事なのだろう。

いくら強い馬を持ててもそれに見合ったコネクションが無ければ財政面で厳しくなる。
自分は恵まれているんだ…樹里はそう感じた。

次の週、平安ステークスではフルダブルガーベラが圧巻のパフォーマンスを見せつける。
メンバーレベルも例年に比べ下がっていたとはいえ2着に大差をつける圧勝劇。
いつも通りの煩さはあったが女王様の貫禄だった。

こちらは帝王賞に向けて万全。
良いステップレースとなったのだ。

そしてオークスはマックスビューティが圧巻の二冠目。
若くして牝馬三冠ジョッキーとなった澪だったが、今回の田沢の手綱捌きの見事さには脱帽と言った感想しかなかった。
近年、尖りこそ減ってきた田沢だったが、円熟味を増してきて、ここぞと言う時の騎乗は誰にも真似出来ないものになってきていた。
天才恐るべしと言う事だ。

次の週は、競馬界にとって特別なレース。
ダービーがある。

澪はシロノライデンの時は新人で、スターライトブルーは怪我。
ウィンドフォールは距離的に回避。
故に今回のリトルウイングとの参戦がダービー初騎乗だった。
リーディングトップを走る彼女も流石に緊張していた。
ダービーとはそう言う舞台なのだ。

「久しぶりやなぁ・・・ダービーは」

管理する仁藤もベテランだが、暫くクラシックの強豪馬に出会えてはいない。
今回は管理馬が上位人気なのもあって、久々にダービーに胸を張って出れる気分だった。

本来なら大本命だったサクラスターオーが故障で戦線離脱。
ダービーの上位人気は混沌としていた。

皐月賞で鋭い脚を見せて強い印象を持たせたマティリアルとゴールドシチーが1,2番人気に推され、皐月賞2着のリトルウィングはそこから少し離れての3番人気。
別路線を連勝して臨むダイゴアルファが続き、3歳になってからは調子を落としていたメリーナイスがそのあと。

ただ、これらの上位人気馬に対して距離への不安を唱える者も多かった。

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