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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 186

そう言って横平を送り出した奥原。
だが、競馬とは思い通りいかないものである。


ゲートが開いて各馬一斉にスタート。
した筈だったが、一頭が大きく出遅れ。
スタンドから悲鳴のような声が上がる。

それもその筈。
本命のウィンドサッシュが出遅れたからだ。
一頭だけ最後方で離れてのレースとなってしまった。

大レースでのやらかしで頭の中が真っ白になってしまった横平。
元々ゲートの得意で無い馬が大歓声でイレ込みを見せたからヤバいと言う雰囲気はあった。
ゲートに入るのもゴネたウィンドサッシュは、スタート直前まで全く落ち着かず・・・
ゲートが開いた時に少し脚を浮かせてしまい、スタートを切る事が出来なかったのだ。

ただ横平の良い所は、やらかしても焦ってミスを繰り返さない事。
やらかしてしまうと、逆に割り切れる所があった。
それは長所であり短所でもあるのだが、この時の横平は割り切って直線勝負に頭を切り替えたのだ。

小頭数の馬群から離れた最後方の追走。
頭数の割にペースは速く、これなら最後には届きそうな具合に思えた。

直線は切れ味勝負。
先頭のレオテンザンをハセベルテックスとユーワジェームスが追いかけ、その後続も差を詰める。
ウィンドサッシュの前方もスペースが出来た。

東京の長い直線だが、まだ最後方。
前が空いたのと同時に横平が鞭を振るう。

その瞬間、ドンと突き抜けるような加速。
一気にギアチェンジしたウィンドサッシュが、跳ぶように駆ける。
瞬く間に馬群に取り付き、更に加速していく。

そのまま並ぶ間も無く、次々と交わす。
一頭だけ次元の違う末脚で駆け上がり、残り100mで全てを交わし切る。
更に突き放して2馬身。
豪快な直線一気で先頭でゴールしたのだ。

「全く・・・ヒヤヒヤさせるよ」

奥原が苦笑い。
結果論として勝っただけで、滅茶苦茶なレースだった。
ただ良い所を上げれば、この鋭い瞬発力は武器になる事が分かったと言う事だ。

「申し訳ないです」

引き上げてきて奥原の顔を見るなり横平は頭を下げた。
当初の予定とは違う形になったとはいえ結果は出したのだから奥原は彼を叱責するつもりは毛頭なかった。

「スタートで遅れた時は一瞬頭の中が真っ白になりましたけど、そこからは腹を括って一番後ろから行くことにしました」

それができるのだから大したものだ。
奥原は改めて横平には才能があると感じた。

NHKマイルを制したその週。
涼風ファームは大事な種付けシーズンに入っていた。

そんな種付けシーズンに樹里は既に受胎報告を受けている。
勿論、馬でなく人間の方であった。

今年は無事に全員が受胎。
50歳になる幸子の妊娠は凄い事なのだが、真奈や敦子、裕美は30代とあって高齢出産の部類に入る。
それもあって樹里も体調を心配しながら涼風ファームを訪れたのだが、そんな心配の他所に全員すこぶる元気であった。

「みんな牧場の女らしく淫らになってきたからな」

母馬の馬房でうっとりする敦子を抱き寄せるヘンリー。
2人共裸である。
樹里も羨む程愛し合っている2人。
愛されて幸せな敦子も会うたびに綺麗になっているように感じる。

「ユウミも毎日求めてくるからな」

ラルフも裕美を抱きしめる。
この2人も全裸だ。
エリック達4兄弟もそれぞれのパートナーを毎日求めているが、彼女達の方も積極的に求めている。
全員、昼も夜も仕事中も関係無く交わる事も多く、避妊しなければ妊娠するのは当然なぐらいなのだ。

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