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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 179

UAEダービーでも対戦しているが、その頃とは比べ物にならないくらい力をつけている2頭だ。
ファーディナンドの方はレース前から海外遠征で体調が万全でないと聞かされてあの差だったので今回はますます強敵感が増す。

馬場入り。
やはり走り慣れたダートはいい。
前走のガーベラは脚元を気にする素振りも見せていたから、なおさらだ。

しかもガーベラの得意とする乾いて硬いダート。
リラックスして走っている様子からも、澪は手ごたえを感じていたのだ。


レースはオーストラリアのアトラタクが思い切ってハナに立ち、アウザールとスノーチーフが追いかける展開で始まる。
その後ろにスカイウォーカーとファーディナンド。
ガーベラはその後ろで、隣にプレシジョニストと言った流れでレースが始まる。

去年のドバイから海外で騎乗して感じたのは、海外の騎手と日本の騎手のレベル差だった。
それも騎乗フォームから違いがあると言うレベルで、帰国後に澪はフォーム改造に乗り出した事が去年のリーディングに繋がったと自分では思っていた。
そして、特に気性難の馬の騎乗を積極的に受けながら、海外の技術を確かめつつ勝って行った事で自信を深めていた。
特にそれはガーベラと共に遠征した交流重賞で発揮され、折り合いの難しいガーベラを制御する術も得ていた。

そんな事もあって、有力馬が揃ったこのレースでも臆する事が無い。
砂塵の中を走りながら、上手くガーベラに息を入れて後半に備えていく。

3コーナーあたりで先頭のアトタラクにアウザールとスノーチーフが並んでいき、ペースがグンと上がる。
それについていくようにスカイウォーカー。
力のある馬たちの仕掛け合いになっていく。

ガーベラは冷静に脚を溜める作戦に変わらない。
しかしすぐ外側をボーンクラッシャーがまくるように交わして上がってきた。

少し暴走に近い上がり方だが、ガーベラは反応しない。
気性は荒い所があるが、ヒートアップし過ぎないのが調子の良さが見える。
これならいい勝負できそうだと澪は笑みを見せながら直線に入る。

直線に入ると、まず先頭に立ったのはスノーチーフ。
アトラタクはズルズルと下がり始め、アウザールもここまで。
それを交わしたスノーチーフにスカイウォーカーが迫っていく。

ガーベラも下がってくるアトラタクとアウザールを交わす。
暴走して一杯となったボーンクラッシャーに追いついた所でガーベラに鞭を入れる。
同じタイミングでファーディナンド、プレシジョニストがゴーサインを出した。

グンと加速して前を捉えようと走る。
横のファーディナンドとプレシジョニストの伸びもいい。
スノーチーフとスカイウォーカーも脚はなかなか衰えず、ジリジリとしか差は詰まらない。

だが、残り100mでガーベラが2頭を捉えて並ぶ。
その横にはファーディナンドとプレシジョニスト。
2頭の伸びは更に力強かった。

脚色は外2頭の方が断然よく見える。
しかしガーベラの真骨頂はここからだ。
ファーディナンドとプレシジョニストが並びかけたところでまたぐいっとひと伸びして頭一つ抜け出す。
2頭も食らい付いてくるがこの微妙な差はなかなか詰まらない。

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