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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 177

海外でも通用するような馬作り。
涼風ファームは樹里(一部は祐志)の力も借りて国内有数の育成施設を誇る牧場になろうとしていた。
その動向には吉野や岡山という生産界のトップを担う者たちも注視しているくらいだ。

シーマクラシックでのライバルはアカテナンゴ、トニービン、アレミロードらサウジ組のメンバーにムトト、リヴリアといったところ。
また、ヨーロッパに長期遠征しているシリウスシンボリもここに出走してきていた。

そんなメンバーが集まったシーマクラシック。
レースは予想通りアレミロードがハナを切る。
そのアレミロードをアメリカから参戦のグレートコミュニケーターとサウスジェットが追う。
その後ろにアカテナンゴ、そしてラモーヌ。
後方集団にはシリウスシンボリ、更に最後方にダンシングブレーヴと言った展開でレースが始まった。

澪としては良い形で先行していきたいと思っていた。
その想定通りの位置に付けれた事は好材料だった。
2400mは適距離の範囲であるが、気持ち長いとは思っている。
ただナドアルシバは殆ど平坦なので負担は日本のコースより少ないとは思っている。

コース状態は何度かドバイで走ってる澪がいつも感心するぐらい良い。
他人事ながら砂漠地方で芝の生育は大変だろうとは思うが、ドバイが威信をかけて整備している芝は走っていて心地よい。
硬さも日本に近くて、それも走り易い要因ではある。

アレミロードの引っ張るペースはさほど早く無い。
淡々とレース序盤は進んでいく。

ジャパンカップ、それにサウジと対戦しているアレミロード。
先行力もあるし、直線に入ってからもしぶとく粘れる。
このレースも彼のペースに持ち込んでいる。

問題は後続がいつ動いてくるか。
このままスローなら通常であれば心配はいらないのだが、一番後ろにいるのがそれも関係なく力を発揮してくるだろうから気が抜けない。

とは言え、澪とラモーヌは自分のレースをするしか無い。

コーナーを回り、最初に仕掛けたのはグレートコミュニケーターだった。
まだアメリカで何の実積もない騸馬であるが、陣営はその潜在能力を高く評価していた。
騸馬になっても激しい気性は健在で、それが仇で取りこぼしが多いものの、スピード能力は非凡であった。
そのグレートコミュニケーターがまず動いてアレミロードに並びかけ、同じく実積の無いサウスジェットもそれに続く。
人気の無い2頭だからこそ勝負に出たのだろう。

そしてアレミロードも抜かせまいとペースを上げる。
先頭がペースを上げた事で、一気に緊張感が出てきた。
その後ろのアカテナンゴがそれに続こうとし、トニービンが早めに外から仕掛けに行く。
そうなると内側のラモーヌも仕掛けざるを得ない。

こうしてペースが上がった先頭集団が直線に入っていく。
アレミロードが必死に逃げ、その外側からグレートコミュニケーターとサウスジェットが襲い掛かる。
ラモーヌは最内で5番手でそれを追いかけていく。

直線は長い。
この先行勢が脚がなくなってきたときが勝負どころだ。

必死に粘るアレミロードがまだ先頭。
追いかけるアメリカ勢2頭の方がやや分が悪くなってくる。
そこにトニービンとアカテナンゴ。
ラモーヌはアレミロードの内1頭分空いたスペースへ突っ込んで抜け出しを図る。
馬群の外からはリヴリア、ラモーヌをマークして追い出すのはムトトだ。

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