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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 174

リトルウイングは落ち着きがあるし、折り合いも取れている。
距離はマイルから中距離が最適とは思っているから、ここでも問題は無いとは思う。
落ち着きが出たせいでズブさも見せるようになった感があるが、ノーザンテースト産駒では良く見られる傾向ではあった。

ペースはさほど早くは無い。
先行勢にはありがたいペースだ。
ただ、中山競馬場はペース配分が難しい所で、テクニカルなコーナーと直線の急坂で、前過ぎても粘れないし後ろ過ぎても届かないと言う面倒さがあった。

故にスピードとパワーの両立が求められているコースで、そんな中で澪が意識しているのはホクトヘリオスだ。
この芦毛の馬は爆発的な末脚を持っていて、ハマればこの世代でも上位と言われていた。
なので切れ味勝負はしたくない。

そしてもう一頭・・・
初めて見るサクラスターオーと言う馬。
まだ条件馬でしかないこの馬の風格に、澪は胸騒ぎを覚えてしまっていた。
成績を見ても新馬戦の勝ちっぷりこそ良かったものの、ここ2戦は凡走している。
だが何故か心に引っかかっていたのだ。

先頭のビュウーコウが軽快に逃げる。
リトルウイングはマイネルダビデに並んで2番手に上がる。
じわじわとビュウーコウとの差が詰まる。
後ろからは末脚のあるホクトヘリオスが構えているが、それがどこで動いてどれだけ伸びてくるのか。

そんな澪の思惑とは異なり、後方からスッと動いてきたのはサクラスターオーの方だった。

仕掛けが早い・・・
順位を上げるサクラスターオーの動きに澪はそう感じる。
リトルウイングの脚を考えれば、こちらが充分残せるだろう。

そんな事を考えながら澪は直線に2番手で入ると、前の馬を交わして先頭に立つ。
反応するまではズブいが、追い出すといい脚を使うリトルウイング。
今回もグイグイと伸びて後続と差をつけていく。

中山の急坂も全く問題にしない。
思った以上にパワフルに駆け上がっていくリトルウイングに中山コースでの手応えを感じていた。
このまま押し切る・・・
そう澪が思い、残り100m。
外側の視界に何かが入ってきた。

ヘリオス?!・・・
そう思ったが馬体が黒い。
黒い馬体が外からリトルウイングに追いつくと、並ぶ間も無く交わしていく。
ゴール板で1馬身差をつけられリトルウイングは2着。
豪快に差し切った馬が一瞬分からなかった澪だったが、それがサクラスターオーだと気付き背中が冷たくなった。

まさか、まさかである・・・
あんな異次元の脚を使われたらお手上げだ。

颯爽と自分たちの目の前を駆けていくサクラスターオーの姿に澪はしばらく呆然と眺めることしか出来なかった。
なおホクトヘリオスはビュウーコウとマイネルダビデとの3着争いに絡むのがやっとで、権利獲りすらも逃してしまっている。

「恐れ入りました」
「いえ…あんなに強くなるなんて、言葉になりませんわ」

樹里もスターオーの強さに脱帽し、幸子は感動のあまりしばし固まってしまうほどだった。

そして、その夜・・・

「あっ、あっ、凄いっ、凄いわっ!」

ホテルのベッドの上で、エリックに跨り腰を振るのは幸子。
50歳になってもスタイルを維持する見事な身体で、エリックの上で腰を振る様は、熟した艶やかな色気に包まれていた。
ミルクで張り切った大ぶりの乳をゆっさゆっさと揺らす。
乳頭からはミルクが滲み出ていた。

「また、子を孕むんだサチコ」
「はいっ、孕むっ、孕みますぅぅっっ!」

エリックの言葉に歓喜の叫びで返す幸子。
彼女にとってエリックの子を宿す事は幸せでしかないと全身で表現するように腰を振り続ける。
それを眺める樹里は羨ましさに身悶えしていた。

孕みたい・・・
その思いは年々強くなる。
幸子や真奈が繁殖牝馬同然に毎年種付けされているのが羨ましくて堪らない。
だが、白幡の当主が未婚で子を成せばグループを揺るがしてしまうと言う自覚があるから余計に身悶えしてしまう。
なら、再婚すればいいのだろうが、そうなれば頭の中に浮かぶのは祐志の顔なのである。
つまり・・・
欲しくてもその想いがある限り無理なのである。

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