PiPi's World 投稿小説

駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 168
 170
の最後へ

駆ける馬 170

ラモーヌの前にはシャルードとシアトリカル。
横にはトニービンとシャロンのフォーエバーゴールド。
後ろにはアカテナンゴが陣取っている。

スタートの正面スタンド前から1コーナーへ。
先頭のアレミロードを2番手のムーンマッドネスが追走するが、先頭を奪うつもりはなさそうだ。
故に落ち着いた流れでレースが進んで行く。

アメリカ馬も多少はいるが、ヨーロッパの馬が多い為かレースは落ち着いた流れだ。
ラモーヌがアメリカ流かヨーロッパ流のどちらが向くかは未知数だが、落ち着いた流れでもきっちり末脚は伸ばせるタイプではある。
相手は名の知れた強豪ばかりだが、ラモーヌがこの相手で劣っているとも思えなかった。

特に奥原や愛美の調整が抜群なのか、初めての海外遠征ながら落ち着いている。
元々精神面の強い馬だけに、そこまで心配する程ではなかったのかもしれない。

展開は膠着状態と言ってもいいほど動きがなく、完全に直線での瞬発力勝負が濃厚になる。
ラモーヌにとってはそれでも問題はない。
アレミロードにムーンマッドネスが並びかけ直線へ。
団子状態でラモーヌは外に持ち出したいところなのにトニービンがそこにいてなかなか道が開かない。

アカテナンゴが外から加速していくと、トニービンもそれに合わせようとする。
その瞬間、外によれたトニービンが開けた隙間に澪がラモーヌを捩じ込ませた。

澪の指示に応え、ラモーヌが猛然と駆け上がる。
トニービン、アカテナンゴと合わせて加速し、先頭集団に迫っていく。
シャルードはもう一杯。
3頭が交わしていく。
シアトリカルは粘りながら先頭に競りかける。
そこに3頭が迫って行く。

残り300m・・・
長い直線も半ば。
アレミロードは必死に粘る。
ムーンマッドネスも食らいつく。
そこにシアトリカルが並びかけて行こうとする先頭集団。
後続は3馬身程度でアカテナンゴ、トニービン、そしてラモーヌ。
その3頭がグイグイと加速して先頭との距離を詰めていく。

前の視界がクリアになったことでラモーヌはぐんぐん加速していく。
粘り込みを図るムーンマッドネスとシアトリカルも脚色は衰えない。
外からはトニービンとアカテナンゴのプレッシャー。
それをラモーヌは力に変えられるのだ。

海外の強豪牡馬にも負けない根性。
アカテナンゴがゴール前あと一歩で並ぶようなところまで迫ってきたが、ラモーヌはなんとか凌ぐことができた。

G 3でありながら一流馬との対戦を制したラモーヌ。
得意距離だと言うのもあるが、奥原厩舎にとって自信に繋がる大きな一勝となったのだ。


そしてメインレースであるサウジカップ。
芝でもダートでもない、オールウェザーと言う馬場。
見た目はダートに似ているが、これはダートでは無い。

(かなり感覚が違うわね・・・)

本馬場にガーベラと共に出た瞬間、澪にもそれが感じれるぐらいの違い。
ダートよりも柔らかい感覚があった。

これはポリトラックと言う素材で、主な材料はゴムである。
馬の脚の負担が少なく、整備性も良い新素材で、ヨーロッパでは調教コースで使用されるものらしい。
日本ではまだ導入されておらず、澪もこの感触は初体験だった。

その為か、ヨーロッパでダート経験の無い馬も参戦してきている。
英ダービー馬のシャーラスタニ、そして仏ダービー馬のベーリングだ。
2頭共に引退前の最後のレースをここに選んできていた。

そしてダートの本場アメリカからはスカイウォーカーとプレシジョニストのG1馬が参戦。
ただアメリカ参戦の騎手達もオールウェザーの感触に違和感は感じているみたいだ。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す