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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 169

馬体もほぼ完成されていてデビューは2歳の夏から秋に照準を定める。
皆が太鼓判を押すこの馬に期待は膨らむばかりだ。

もちろん残りの2頭が期待できないわけではない。
スーパークリークがそれだけずば抜けているのだ。
セントオーキッドの仔は奥原厩舎、アキネバーの仔は寛子の厩舎に託されることになった。

そんな風に2歳馬の処遇を決めて新年が始まる。
まず新年早々に走ったのがプチソレイユ。
3勝クラスを快勝で、オープン馬になった。
仁藤によると、オープン戦を使った後に春には重賞挑戦させてみようと考えているようだ。


そして2月に入る。
涼風ファームでは少し早い出産ラッシュ。
勿論、馬では無く人間である。

高齢にも関わらず幸子は今回も安産。
数時間でのスピード出産の上に次の日から動けるぐらいで、産科医からも驚かれる程だった。
今回は女の子で、エリックは幸子の名前から美幸と名付けたのだ。

その次は裕美だ。
いやちょっと疲れたと言った裕美だが、5人目の今回が一番楽に産めたようだ。
長男に続いての次男誕生で、長男以上にラルフによく似た子とエリック達兄弟も言う程。
長男の裕樹に合わせて次男は大樹と名付けられた。

そして月末のサウジカップデーの直前。
真奈も出産を終えた。
出産までに時間がかかったが、男の子並みに大きな女の子が生まれた。
名前は長女の奈帆に合わせて花帆と名付けられたのだ。

今後も家族が増えていくことを想定して、スタッフの居住スペースを増築し始めたのは年明けのこと。
ますます皆が充実して笑顔が溢れるのが楽しみになる樹里なのであった。

所有馬ではウィンドサッシュがクイーンカップで始動してナカミジュリアンとコーセイとの追い比べに競り勝ち重賞制覇。
ジュベナイルフィリーズでは先着されたコーセイに勝ったことでさらに弾みがつくと奥原も満足していた。

そんな弾みをつけてのサウジアラビア遠征。
G 3ながら高額賞金レース、ネオムターフカップにリュウノラモーヌが出走する。
高額賞金だけに、アメリカやヨーロッパからそれなりの強豪馬が集まってきていた。

その中にはドイツ最強馬アカテナンゴ、イタリアの強豪トニービン、アメリカに移籍して実力を発揮しつつあるシアトリカル。
それ以外にもダンスオブライフ、サウスジェット、アレミロード、シャルード、ムーンマッドネスなど、G3とは思えない豪華なメンバーが集まっていた。

故に三冠牝馬とは言え、ラモーヌの人気は下位。
逆に気楽に走れるとは言える。

「それでもムカつくわよー」
「いいじゃないですかー・・・気楽に行けるし」

愛美は怒っていたが、澪はこんなものだろうと理解はしていた。
全く勝手の分からない異国の地だが、ドバイや香港で慣れてきたからの言葉だ。

「まあ、人気薄同士頑張りましょ」
「そうね、お互いね」

香港からはシャロンも参戦している。
彼女が乗るのは、香港のG1馬フォーエバーゴールドである。

国際的な評価は低くてもここでどこまでやれるか。陣営もそうだが澪も楽しみはあった。
ジャパンカップの好走からある程度の自信も持っていた。

新設された綺麗な芝生の上で出走各馬が揃ったスタートを見せる。
そんなに行く気を見せる馬がいない中でアレミロードが押し出されるように先頭に立つ。
ラモーヌは好位から中団あたりのポジションだ。

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