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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 164

向こう正面に入っても淡々としたペースは続く。
逃げるレジェンドテイオーも菊花賞では距離の壁に泣いた馬で、ここも最後まで持つかどうか。
2番手は変わらずクシロキング、動きがあったのはその後ろ3番手集団。
サクラユタカオーにミホシンザンとダイナガリバーが並び団子状態。
ラモーヌはギャロップダイナと並んで後方、ライデンは着々と前との差を詰めている。

有馬記念の二周目のバックストレッチは内回りであり、3コーナーは普段の外回りより急になる。
故にコーナーリングが重要になってくるのだ。

だが、常にセオリーを無視するものがいるのも確か・・・
仕掛け所ではない急な3コーナーで動いた馬がいた。
シロノライデンだった。

グンと加速すると、最後尾から外を捲って駆け上がり、ラモーヌの外側までやってきた。
その予想外の捲りに、スダホークやフレッシュボイス、ギャロップダイナが釣られてしまっていた。

後方からの予想外の追い上げは前の馬にも混乱をもたらせた。
コーナーでペースが上がり、バタバタとした展開。
クシロキングやサクラユタカオー、サクラサニーオーが失速していく。

そして、ラモーヌは・・・
追い上げてくる馬と失速する馬に囲まれて、馬群の中で閉じ込められてしまったのだ。

澪が唇を噛む。
天才田沢に完全にヤラれてしまっていた。
4コーナーで馬群の中に閉じ込められたラモーヌ。
澪は必死に打開策を探して目をこらす。

逃げるレジェンドテイオーもスタミナ切れが近くなっている。
代わりに先頭を奪いに行こうとするミホシンザンとダイナガリバー。
シロノライデンはそのすぐ外まで迫ってきていた。

外から押し寄せる差し馬勢。
完全に蓋をされてしまったラモーヌは内のスペースが開くのを期待したが、そこには失速するレジェンドテイオー。

万事休すか・・・
馬群に飲み込まれたまま直線に入ろうとするラモーヌ。
脚が衰えてきたレジェンドテイオーを避ける為に内に切り込むしかなく、更に窮地に陥ったラモーヌだったが・・・
内側に僅かな隙間が前に見えた。

澪が目を凝らしたその隙間・・・
そう、それはミホシンザンの横だった。

その時、澪の頭の中が弾けるような感覚があった。
そうだ・・・
田沢とのレース前の会話が蘇ってくる。
ミホシンザンは脚元に不安がある。
恐らく柴原は本気で追わない。
それだけじゃない。
ミホシンザンの脚元を気にかける柴原は本気で追わないだけではなく、一番荒れている内側は走らないだろう。
その予測通り、ミホシンザンの内側が空いている。
そこは荒れた馬場であるが、囲まれた澪にとっては唯一の道に見えたのだ。

澪が鞭を振るい、ラモーヌをその隙間に持っていく。
荒れた馬場とは言えラモーヌはグイグイと加速していった。

先頭は早めに抜け出したダイナガリバー。
ミホシンザンはやはり伸びない。
前に付けていた馬が軒並み沈んでいく中、後方から怒涛の勢いで追い込んでいく馬との勝負になっていた。

短くも坂がありタフな中山の直線。
ダイナガリバーは力強く抜け出し後ろの馬群を突き放そうとする。
やはりこの世代トップのダービー馬。

最内に潜り込み伸びを見せるラモーヌ。
じりじりとダイナガリバーとの差を詰める。
隣のミホシンザンが伸びを欠く中、ラモーヌ以外に伸びを見せるのは―――

スタンドが大歓声。
外から目の覚める勢いでやってくるのはシロノライデンとギャロップダイナの2頭。

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