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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 162

世界のトップホースの猛然と追い込んでくる姿にスタンドがどよめく。
マニラがぐんぐん差を詰めてくるのを理解したシャロンはウィンドフォールに懸命の愛の鞭を一発入れる。
ここまでは楽に行かせてもらって、余力も十分残っていたが、流石にゴール前200mに差し掛かったあたりで苦しくなってきた。
外のマニラとの差がどんどん縮まる。

さらにダハールとシャルードも差を詰めて、ゴール前は4頭が横並びに。

ゴールを過ぎて、シャロンは唇を噛む。
後一歩だった・・・

クビ差、マニラに交わされての2着。
シャロンにとっては勝てる戦術を取っての2着だけに悔しいものがあった。
だが、それだけ世界最高峰のターフチャンピオンは強かったと言う事だ。

その唇を噛んだシャロンにマニラの主戦騎手、サンタナが近付く。
彼も勝利の笑みは無い。
前走のブリーダーズカップも激戦だったが、まさかここで同じような激戦になるとは思いもしなかったからだ。

「良い馬だ、香港まで来た甲斐があったよ」
「ありがとう・・・でも、この馬は日本の馬よ」
「驚いたな・・・日本もレベルが上がったものだ」

シャロンの言葉に少し驚いてみせるサンタナ。
彼には極東で競馬があるんだ的な知識程度しかなく、ここまで戦える馬がいるのは驚きだった。

そして、レースを観戦していた奥原は喜びを隠せずにいた。
正直悔しさも無くは無いが、それ以上に海外での好成績に喜びの方が大きくなっていた。
何より、世界最高峰の馬に混じって自分の管理馬が好勝負できた事に身が震える程だったのだ。

惜しくも勝利こそならなかったものの、現役の世界最強馬ともいえる馬をあと少しのところまで迫れたのだ。
レース後の奥原厩舎のスタッフたちは皆笑顔だった。

「まだ3歳ですし、ここから成長すれば来年は勝てるはずです」
「私もそう思ってます。頑張らないといけませんね」

セシリーと奥原はそう言葉を交わす。

残念ではあったものの、それ以上に収穫の多い香港遠征だったのだ。


そして、本年の最終週。
リュウノラモーヌとシロノライデンが有馬記念に出走する。

シンボリルドルフ、スターライトブルーと言うスターホース2頭の引退があり、盛り上がりに欠けるのではとの心配があった有馬記念・・・
それでも冬のグランプリレースらしく、古馬では二冠馬ミホシンザンを始め、ギャロップダイナ、サクラユタカオーとG1馬も参戦。
そしてスズパレード、クシロキング、スダホークと言ったG1常連組が名を連ねる。
クラシック世代からはダービー馬ダイナガリバーを始めとして、フレッシュボイスやメジロボアールが参戦して、幸いにも例年にも劣らぬ盛り上がりを見せていた。

ラモーヌ、ライデン共にジャパンカップ後も順調に来ている。
特に来年6歳になるライデンは現役続行を決めているが、衰えるどころか今が成長期だと言わんばかりに元気そのものだ。
血統的に遅咲きのステイヤーであるからだろうが、厩舎でも若返ったのじゃないかと言われるぐらいの充実ぶりだ。

今回も澪はラモーヌ、ライデンには田沢が騎乗する。
来年も現役続行のライデンだが、ラモーヌの歩む路線次第では澪に手綱を戻してもいい、と田沢は仁藤に話していた。

その2頭はラモーヌが2番人気、ライデンは3番人気。
この秋のGT戦線の主役を務めてきた2頭の上にはミホシンザンの名前。
ライデンの後にはサクラユタカオー、ダイナガリバー。

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