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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 160

9頭立てと少頭数。
出走各馬はすんなりとゲートに入っていく。

好スタートからハナを切るのはメイショウマツカゼ。
ゴールドシチー、サンキンハヤテの2頭はそのすぐ直後の好位置を確保する。
さらに後ろにリトルウィング。
人気と実力のある2頭のすぐ後ろにつけたのは悪くない。

レース中盤まではポジションの大きな入れ替えもなく淡々と進んでいく。

そして3コーナーに入り、少しポジションを上げようと腕を動かす。
だが反応が無い。

馬体を見れば短距離向きではあるように見えるのだが、反応はステイヤーかと言うぐらいニブい。
これは今に始まった事ではなく毎回そうなのだが、みはやれやれと思いながら強めに何度も追う。

そうするとようやく前との距離を詰め始める。
ズブいせいで手を思い切り動かさないと反応しないから、他所からは相当追ってるように見えるが、その割にゆっくりとした加速だ。
だが、前の本多と東出はそれに釣られてしまったのだ。

これは経験の差の部分もある。
2人には最も警戒するリトルウィングが猛然と追いかけてきたように見えていた。
故に4コーナーで予定より2人とも早く仕掛けて逃げ馬を交わして行ったのだ。

直線で先頭に立つサンキンハヤテとゴールドシチー。
2人は必死で追い、後続までは3馬身以上。
澪はリトルウィングに何度も何度も鞭を入れ、垂れてきたメイショウマツカゼを交わす。
反応するまでがズブいリトルウィングだったが、一度反応すればグイグイ伸びる。
ただその分、澪も必死に追わねばならない。

それでも前方の争いに届かせることは難しいことではなかった。
前は人気2頭にファンドリスキーが加わり三つ巴の叩き合いになっていたが、リトルウィングはそれに並びかけると一気にスパートを利かせて交わし去った。
完勝で2歳GTを手にするリトルウィングと澪。

勝利に余裕の笑顔を見せ引き上げる澪。

「若いのにベテランの競馬を見せつけてようやるなぁ」
「ありがとうございます」

若い鞍上ふたりががっかりと引き上げていくのを見つつ、ファンドリスキー鞍上のベテラン岩倉は勝った澪を称える。

勝った喜びよりホッとした感じが強い。
オークス馬ダイナカールの全弟と言う事で評判は高かったし、勝つ事を宿命付けられた馬を任されただけに、無事に帰ってこれて勝利もできた事でホッとする感覚の方が強いのだ。

ここを勝った事でクラシックに目処がついた。
これでリトルウィングは春のステップレースまでじっくりと調整していく事になる。


その同時期。
香港でウィンドフォールが香港マイルに出走していた。
今回、澪が朝日杯に乗るとあって、シャロンが乗る事になった。
シャロンも多くのお手馬を持っているが、樹里の所有馬とあって快く騎乗してくれる事になったのだ。
そのウィンドフォールをシャロンが選んだ理由は他にもあった。
その大きな理由は、アメリカから参戦した芝の王者、マニラの存在だった。

そのマニラ以外にも、シャルード、ダミスターと言うアメリカ馬が参加していたが、この2頭なら兎も角、まさかマニラまでがマイルに登録するとは意外だった。
マニラの参戦で香港マイル王者レッドストーンがスプリントに回ったぐらいの大事態だったのだ。

お手馬が違うレースに回ったことで、シャロンはこの日本からのチャレンジャーに初騎乗することと相成ったのだ。

昨年のスターライトブルーほどの実績はないためウィンドフォールの注目度は低い。
その分気楽に挑めるわ、とはシャロンの言葉。
人気も低いが力で劣るとは決して思ってはいない。

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