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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 149

あとは、ガーベラには気候も向いてきたと言うのが寛子の見方。
11月の少し肌寒くなってきたくらいの方がガーベラにはいいのだと言う。
前走の南部杯は10月にしては異常なくらいの暑さだった。
その前のレパードステークスでも勝ったとはいえ暑さには苦しんでいた様子なので、今の時季がいいのかもしれない。

ただし、ガーベラのカリカリした気性はいつものことである。

人でも馬でも、所構わず威嚇する。
この気性の激しさがガーベラの持ち味だ。
だが、寛子や澪には従わねばならないと理解しているのが賢い所で、指示に従わず暴走する事は少ない。
ただ、我が儘な性格ではあるので、従う事にストレスを溜めるタイプではあった。

「ガーベラ様は今日もご機嫌麗しく無いみたいですね」
「そうね、自分が一番になってチヤホヤされるまではご機嫌斜めね」

そんな風に澪と寛子が笑い合うと、ブンブンと首を振ってご機嫌斜めアピール。
人の会話を何となく理解してるかのような賢さがある。
澪はよく同世代のラモーヌと対比してみる事があるが、闘志や賢さと言った部分はガーベラの方が上だと思っている。
ただ、優等生なラモーヌと比べると、野生児なのだ。
それ故のロスが多い。

「ダートならラモーヌより強いんだけどなぁ」
「やっぱりそうなんだ」
「こればっかりは同じ条件で比べれないので、印象だけですけどね」

ガーベラは欠点の多い分、長所も多いと澪も思っていた。
そして、どちらもいずれ海外で勝負したいとも願っていた。

ダートの本場アメリカ。
澪はもちろん日本馬の遠征も数えるほどしかなく、成績も芳しくはない。それでもガーベラなら行けると澪は思っていた。

ガーベラであればこの次のチャンピオンズカップ、ラモーヌはジャパンCが今後への試金石になると思っていた。

それよりもまずはこのレースである。

JBCシリーズはスプリント、レディース、クラシックの3レースを同日に行う地方主催の交流重賞であり、その特色は本番アメリカのブリーダーズカップと同じく開催競馬場持ち回り制である。
現状、帝王賞や東京大賞典と比べて格落ち感はあるが、今後それに並ぶ地方競馬のビックレースに育てて行こうとの意志は大いに感じられるイベントだ。
その為か、牝馬限定戦唯一のJpm1であるレディースクラシック、地方最高峰のスプリントレース東京杯より格上設定されたスプリント。
そして、クラシックは帝王賞、東京大賞典と同じ2000mの距離設定をされていた。
その為か、中央より地方の方がこのレースに対する思い入れが強く、豪華なメンバーが集まった訳だ。

持ち回り制なので第3回目となる今回は浦和競馬場開催となる。
南関東エリアの地方競馬場で、小回りな地方競馬場らしいレイアウトのトラックコースである。
2000mのレースはバックストレッチ奥から一周半してゴールとなる。

鍵となるのはこのコースで2度通過する3コーナーのスパイラルカーブ。
ここから4コーナー、さらに直線に向かってはコース幅が狭く、かつ最後の直線は短いことから仕掛けのタイミングで戸惑うと命取りになる。
また多重落馬事故も多く注意しないといけないポイントである。

「ガーベラ様、お願いしますね」

澪がそっとタテガミを撫でる。

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