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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 147

この出来ならもう相手は関係無い。
後は自分の競馬をするだけだった。

枠順は幸運にも内側。
東京2000mの外側は前に行く馬には辛いので、これはラッキーだった。

隣の枠はシロノライデン。
待避場ではいつものすっとぼけた感じで、こちらを『何でそっちに乗ってる?』的な目で見てくるのについつい微笑んでしまう。
そのシロノライデンも状態は良い。
それだけでなく、おっとりした馬に気合が入っているように見える所もある。
前回の京都大賞典で田沢が『乗り方が分かった』と言ってるだけに、むしろ怖さがある。
特にハイペースになれば末脚はメンバー中で最上位の馬だ。

恐らくレースはウインザーノットとのハナ争いでペースが上がるのは必至。
シロノライデンやギャロップダイナはそれを想定して後半にかけてくるだろう。
ミホシンザンやサクラユタカオーもやや後方からの競馬になると想定していた。

それぞれが戦略を練る中、ゲートが開く。

(おおっ!!)

スターライトブルーは生涯最高ともいえるような好スタートを切れた。
当然のようにそこからハナを奪っていく。
しかしそうはさせるかと外からウインザーノットもいいスタートから被せるように並びかけていく。
昨年も見せ場を作ったこの馬も並々ならぬ思いがあるのはわかっている。

この2頭が2,3馬身ほど他を放していく。

先頭2頭の後ろはスズカコバンとスズマッハ。
更にサクラサニーオーやクシロキングはその後ろ。
そこにドウカンヤシマ、ライフタテヤマなどが続き、スダホークもこの辺りにいた。
有力な馬達は殆どが中団から後ろ。
ミホシンザンとサクラユタカオーが中団やや後ろ。
シロノライデンとギャロップダイナが最後方と言った感じだ。

先頭争いは、ウインザーノットが半馬身程スターライトブルーの後ろにつけるが、ややペースは早い。
勿論、澪にとってこれは想定内であったが、兎も角スターライトブルーを気持ち良く走らせる事だけに集中する。

バックストレッチを走り3コーナーへ。
スターライトブルーは快調に先頭を走る。
ウインザーノットも負けじと食らいついてきていた。

中団より後ろの動きはやや鈍い。
これは各馬直線勝負だと考えているからだろう。
スターライトブルーがウインザーノットとの先頭争いが激しくなるのは全員織り込み済み。
そんなハイペースに付き合わないつもりなのだろう。

そしてやはりと言うか、大欅手前でウインザーノットが再び競りかけてくる。

並の逃げ馬ならここで力尽きてもおかしくないところだが、スターライトブルーは違う。
ウインザーノットに並ばれたところでもう一度息を入れ、加速する。
その反応は澪も惚れ惚れするもので、改めてこれで引退なのがもったいないと思わせるものだった。

後続勢はドウカンヤシマが3番手、そのすぐ後ろにサクラユタカオーが動いて迫ってきた。

直線に入り突き放す。
ウインザーノットが必死に食らいつくがジリジリと差を開き2馬身。
後続が必死に追ってくる。

特に脚色のいいのがサクラユタカオーとミホシンザン。
中団から抜けて3番手に上がるサクラユタカオーと、中団後方から他馬を交わしつつ上がってくるミホシンザン。
ウインザーノットは必死に粘り続ける。

残り200mでサクラユタカオーがウインザーノットを交わす。
だが、スターライトブルーは更にその先。
全く脚色に衰えは無い。

だが、そこで・・・
後方から大外を凄まじい勢いで駆け上がってくる馬がいた。
巨体が唸りを上げてごぼう抜き。
中団の馬を一気に抜き去り先頭を伺う。
シロノライデンが上がってきたのだ。

残り100mでミホシンザン、ウインザーノットを交わしサクラユタカオーに迫る。
それも一瞬で交わすとスターライトブルーに迫る。
残り50mでサクラユタカオーと共にスターライトブルーのすぐ後ろまで迫ってきたのだ。

その差は殆ど無い・・・
3頭の馬体が合わさった所でゴール。
澪の手がグッと上がった。

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