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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 140

ぐったりする樹里を寝かして幸子を抱き寄せるエリック。

「ユーシから孕ますなとは言われているからな」
「あら、残念ね」

そんな会話をしたエリックが幸子を引き寄せて貫いたのだった。


週が開けた平日。
盛岡でマイルチャンピオンシップ南部杯が行われる。

中央からはリキサンパワー、ライフタテヤマの古馬2大エース。
そして地方からはカウンテスアップ、テツノカチドキ、グレートローマンの強豪古馬勢。

そこに新鋭の3歳勢・・・
中央からはウイニングスマイル、ノトパーソ。
地方からはハナキオー、アイランドハンター、そして地元のトウケイフリート。
その中には勿論、フルダブルガーベラの名前もあった。

人気はリキサンパワーとカウンテスアップの帝王賞で激戦を演じた2頭が最上位。
その次が東海の英雄グレートローマン。
古豪テツノカチドキがそれに続き、ライフタテヤマがその次を占める。
フルダブルガーベラは6番人気だった。
これは低く見積もられたと言うより、上位がハイレベルなのとガーベラが未知数と見られているからだった。

少し冷たい風が吹く盛岡の空。
天気は快晴、パサパサのダートコース。

「ガーベラ様はガーベラ様だね」
「まあ環境に動じないってのを褒めないといけないね」
パドックの周回では頭をブンブン振りまくる。
これもいつものことだから見慣れてしまった。

短期放牧でリフレッシュしたガーベラは元気一杯。
いつも通りのガーベラにむしろ安心すら感じていた。

南部杯のスタート地点は、バックストレッチ側にある引き込み線の一番奥。
ここからスタートするのだが、引き込み線が相当長く、スタートから700m以上ほぼ直線となっているのが特徴だ。
故にスタートからの位置取り争いは、むしろ中央の感覚に近いと言えるだろう。

人気こそ下がったとは言え、ガーベラの実力は騎手達は知っている。
地方の騎手からはもう荒っぽい対応は無いものの、警戒されている間はある。
それは当然、地方のレースとなると『中央何するものぞ』と地方騎手が燃えているのもあった。

馬の方も歴戦の勇者感がある馬ばかりだった。
大井のカウンテスアップとテツノカチドキ、東海のグレートローマンは中央の馬にも負けない雰囲気があった。
やはり交流G1と言われるレースは凄いと、澪の心も自然と引き締まるのだった。

気合の入った状態でいざレースに挑む。
若干エキサイトはしていたが早くレースがしたい思いが強いのかゲートにはすんなりと入る。

スタートは抜群。
澪もこんなにいいスタートが切れるのかとびっくりするほどの好発。
ガーベラは気分良くハナを切って行く。
ただライバルもそうはさせまいとリキサンパワー、ハナキオー、テツノカチドキがガーベラをマークするように追走する。

長いバックストレッチを走る馬群。
そのまま先頭でと思っていたガーベラに迫る馬。
それは意外にもトウケイフリートだったのだ。

トウケイフリートは地元岩手所属の馬。
岩手では無敵とまで言われる存在だった。
それが遠征して、地方や中央の強豪に跳ね返されて来たとは言え、ここ地元では好きにさせてたまるかと猛然とガーベラに挑む。
3コーナーに入る直前でトウケイフリートがハナに立ち、ガーベラと澪はハナに拘る事も無く2番手でコーナーに入る。

トウケイフリートが引っ張る形でコーナーを回る。
小回りの地方競馬場らしいコーナーであるが、それを知り尽くしているトウケイフリートは加速しながらもスムーズに回っていく。
これには澪も驚く。
遠心力で外に振られる事も殆ど無く回れたトウケイフリートの上手さは想定外だった。
想定外故に少し離されてしまう。
これは4コーナー近辺にある微妙な坂で遠心力を減衰させて回ったのだが、そのタイミングは地元ならではのものでガーベラを2馬身離して直線に入ったのだ。

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