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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 135

これはリュウノラモーヌの秋華賞の結果次第ではあるが、この2戦で澪はラモーヌに乗るだろうとの予感が仁藤にはあったからだ。
同世代にはもはや敵はいないであろうラモーヌ。
秋華賞をいいパフォーマンスで勝てば次はエリザベス女王杯ではなくジャパンカップ、さらにその後に有馬記念、というローテを奥原は描いていた。

「より強くて可能性のある馬に乗っていい結果を得るのが騎手の仕事なんや」

仁藤は澪にそう言って激励した。

そんな中で行われたリトルウィングのききょうステークスは、一番人気に推された通りに快勝。
良血馬のスピードを充分に活かした勝利だった。

そして日曜日にはスプリンターズステークス。
セントウルステークス組と京王杯組が合わさったメンバー構成の中、実績上位はタカラスチール。
そのタカラスチールを京王杯で破った新鋭アイランドゴッテスとダイナシュート。
そして古豪トーアファルコンやトウショウペガサス、ロングハヤブサ等、短距離路線が賑わってきただけにメンバーも豪華になりつつあった。

そんな中でウィンドフォールはタカラスチールに次ぐ2番人気。
3歳馬ながらセントウルステークスを制したスピードを買われての2番人気だった。

澪も前回より更に上積みがあるように感じていた。
古馬勢と並んでも見劣りしない。
大柄な馬では無いが、大きく見えるのが調子の良さを表しているようだった。

馬場入りでも弾むように駆け出していく。
出来は前走以上にある、と愛美から言われた通りの状態の良さに目を細める澪。

前向きすぎるところが出てゲート入りの際に少し立ち上がりかけたが問題なく入った。
スタートも綺麗に決める。
ロングハヤブサが勢いよくハナを切り、ウィンドフォールは5、6番手あたりの馬群の中。

電撃戦と称される中山の1200mは、基本は先手を取っていくのが攻略法ではある。
だが、大外コースから緩やかなカーブを走るが、バックストレッチと3コーナーが殆ど一緒のような構造になっている為に、相対的に4コーナーがキツく感じる作りだ。
その為に道中での位置取りも重要となる。

ウィンドフォールは内ラチ沿いを走る。
開催最終日とあってやや荒れ気味だが、問題はない。
ペースは早いが、短距離戦ではよくある事だしスタミナ的にも大丈夫だろう。

先頭争いはロングハヤブサとトーアファルコン。
ウィンドフォールの後方にはタカラスチールとアイランドゴッテス。
馬群はそこまでばらけず、先頭から後方までほぼ一塊り。
こうなると4コーナーでごちゃつきやすいから注意か必要だった。

それ故に澪も迷う。
このごちゃつきに巻き込まれないように早めの仕掛けをするべきか・・・
だがそれは、直線の急坂を考えればギャンブル的な戦法になる。

最後の直線はローカルほどではないが短い。
しかしその最後に待ち受けているのが急坂だ。
先に行って粘り込めるかどうかはわからない。
しかし直線一気に賭けるほどウィンドフォールには切れ味があるわけでもないし、トーアファルコンなどに比べたら馬格もなくパワーの面でも疑問が残る。

澪はギリギリまで最内で脚を溜める策を選んだ。

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