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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 133

スタートは問題なく出る。
好位置を確保したいところで少し揉まれてしまい、馬群の真ん中あたりから進めることになった。
前はロングハヤブサが飛ばしトーアファルコンがそれに続いていく感じでペースは速くなりそうだから、そうなれば都合が良い。

古馬混合のスプリント戦らしく早い流れ。
中団に位置したウィンドフォールだが、落ち着いて走っていた。
思った以上に短距離適性があるのかもしれないと思いながらコーナーを回っていく。

コーナーを回りながら位置を徐々に上げていく。
同時に同じ3歳馬リードトリプルとコーリンオーが動く。
先頭集団も快調に飛ばしたまま。
スプリント戦は先行馬もハイペースでも余りバテないから早めに動く必要があった。

そして直線。
直線入口でウィンドフォールは7番手辺り。
一斉に動く中団と同じタイミングで澪も鞭を振るう。
トーアファルコンが直線入口で先頭に立ったが、リードはさほど無い。
各馬直線で大きく広がっての叩き合いとなった。

ウィンドフォールは馬場の中央を駆け上がる。
直線半ばで5番手辺り。
だが、先頭までは2馬身も無い。
グングン加速していき、差を少しづつ詰めていく。
追う澪としては、手応えが以前より力強くなった感はあった。
そんな澪の期待に応えるように、ウィンドフォールは先頭集団に並びかけていく。

内で粘る馬もいるし、ウィンドフォールの外から追い込んでくる馬もいる。
ゴールまで200mを切ると内外数頭が横並びになる大激戦になった。
澪は負けまいと必死で追う。
馬場の真ん中で僅かにウィンドフォールが鼻面一つ抜け出す。
しかしゴール前はもつれるように入線。

掲示板でもハナ差でウィンドフォールの勝利が確定する。
春先なら負けていたかもしれない戦いを制した事は大きな進歩だったのだ。


そんなウィンドフォールの勝利の次週はローズステークスでリュウノラモーヌが始動する。
こちらも夏を順調に過ごしてここに来た。

一頭だけモノが違う・・・

パドックで引かれているだけでそう言われるぐらい充実した馬体。
黒光りする馬体は気高さすら感じさせるぐらいだった。
圧倒的な一番人気になったのも誰もが頷くぐらいであった。

落ち着き払って悠然と歩く様もまさに女王の風格だった。
誰しもが負けると予想していないし、澪も見た瞬間に勝つイメージしか湧かなかった。

「本番は次だから、いい形でレースしてほしい」

余り澪に注文の多くない奥原だが、今回も多くは無かった。
勿論、その意味が分かる澪だからと言うのもある。

パドックで澪が跨ると、落ち着きながらもグッと気合が乗るのが分かる。
レースに行くのが分かりつつも、高まる気持ちを自ら抑えているようにすら感じた。

闘争心を内に秘めるタイプか。
乗るたびに強くなり、精神面でも強さを見せるラモーヌに澪はワクワクしてきていた。

オークス3着馬ダイナアクトレスが前日に出走取り消し。
他も対戦済みのメンバーが多く、ラモーヌと未対決の上がり馬ロイヤルシルキーが2番人気に推されるがそれでもラモーヌとは大きく差が開いていた。
それも澪へのプレッシャーにはならない。

春同様マチカネエルベが快足を飛ばして逃げる。
ラモーヌは真ん中からやや前のポジションをきっちりとる。

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