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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 14

秘所から愛液が溢れて、それが足をつたって滴り落ちていく。
馬房に敷いた寝藁に染み込んでいっても、今は誰も気にしないし咎められもしない。
それぞれが自らの欲望に浸っている。

「ふあっ、ああっ……んっ!ああ…」

隣で同じように自慰に耽っていた由紀がその場にへたり込んだ。

そうやって夜な夜な女達の自慰で嬌声の響く馬房の中で繁殖牝馬達は次々と発情の様子を見せて行ったのだ。


春シーズンの日程は進み、まずNHKマイルカップは大本命ビゼンニシキが過密ローテをものともせず戴冠。
更にダービー出走を決めてシンボリルドルフに雪辱を果たすと陣営は意気込んでいた。

次週のヴィクトリアマイルはダスゲニーとシャダイソフィアの壮絶な叩き合いの末にシャダイソフィアが栄光の座につく。
両馬共に次走は安田記念でマイル王ハッピープログレスと対戦する事になる。

オークスは桜花賞馬ダイアナソロンにトウカイローマンが競り勝つ。
そして今週はダービーとシロノライデンの2戦目だった。

シロノライデンは初戦の勝利がよかったからか、堂々の1番人気。
樹里も知り合いの馬主達から『ダービーに間に合わなくて残念だね』と言われるぐらい仕上がりもいいし、何より遠征を無事にこなせた事が何よりも良かった。

「むしろこれ以上になく図太い馬ですから心配しなかったんですがね」

仁藤調教師が笑う様子も仕上がりの良さ故だった。

距離は初戦と同じく芝2400m。
そして日本ダービーとまったく同じ東京競馬場でのレースになる。

「前回よりも長い距離の輸送になりましたけど馬は落ち着いていていい雰囲気ですね」
仁藤調教師は満足げに言う。
馬体重はマイナスだが長距離輸送を考えたら想定内だとも話す。
GTと同じ舞台、コースを走れるのは何よりいい経験にもなる。

もちろん鞍上は相沢澪。
彼女の腕も評価もさらに上がって、ここまでで9勝をあげていた。

もし菊花賞にシロノライデンが出走できたとしても、澪が31勝以下なら騎乗できない規定がある。
仁藤調教師からは、仮に31勝をクリアしたら澪を乗せたいと言う意向も聞いているし樹里も同意見だ。
特に長距離の定量戦で女性騎手減量措置の4キロが大きな武器となる。
これは騎手の経験を差し引いても大きな事だ。

とは言え、今はまだ早い。
秋までに人馬共に勝っていっての話だ。

レースの方は初めての東京遠征もあったが、後方からの牛蒡抜きで勝利。
前回より遅い仕掛けでも直線の長い府中なら充分だった。
これで澪は10勝目。
新人騎手としては異例のスピードだった。


だが、その後行われたダービーで樹里達の甘い期待を打ち砕くような出来事があった。
シンボリルドルフの完勝である。

ダービーに少し焦りもあった主戦騎手のゴーサインにシンボリルドルフは動かなかった。
自分で頃合いを見計らって、そこからスパートしてきっちり勝つ。
馬が完全にレースを熟知している・・・
ここまで速く、強く、賢い馬は例を見ない程だった。
口取り式では、まるで王の戴冠であるかのような威厳すら感じられたのだ。

「いやあ、強かったですよルドルフ」
「私もテレビの前で思わず変な笑いが込み上げて来ました」

シロノライデンの勝利と日本ダービーから数日、樹里は涼風ファームを訪れた。
真奈と会っての第一声はシロノライデンのことよりダービーの話であった。

「ライデンが菊花賞に間に合ったとしてもあの馬に勝つのは大変そうですよ」
「ウチのような牧場にとってはGTに出られるだけでも一大事ですから」

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