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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 130

中央にも地方にも強豪がひしめき合うのがダート路線である。
その中でガーベラは交流GT勝利、ドバイでも重賞を勝っているので世代の中では頭ひとつ抜けている。

相変わらずパドックではカリカリしているガーベラ様。
それに加えて今日は真夏の暑さも影響してか発汗が目立つ。
こんなクソ暑い中なんで走らされるのよ、と言っているような気がしてガーベラを引く寛子も心配だった。

ただそんな唯我独尊のガーベラ様が、澪が跨ると若干落ち着く。
寛子も感心するのだが、今年の澪の成長が顕著・・・
現在、関西リーディングでトップ、全国でも一位に迫る勢いなのだ。
そんなトップジョッキーに食い込んだ貫禄みたいなものが澪から出ていた。
そんな澪だから、あのガーベラ様も『仕方ないわ、アンタだから言う事聞いてあげる』とでも言いたげな表情を見せていた。

とりあえずホッとしたが、夏の暑さの消耗は拭えない。
それは全ての馬で条件は一緒だが、暑さの耐性は個体差がある。
どちらかと言うと、得意な方では無いだろう。

澪としては暑い夏は得意ではないが、ローカルの雰囲気は好きだ。
特に新潟は頻繁に来ない所だし、ご飯が美味しいので好きな所だ。
滅多に中央に乗らない地方騎手達も飯と酒の美味さに楽しみにしてると話には聞いた。

「お酒もいいけどラーメンよね」
「いいわね・・・減量気にしなくていい人は」

体重管理のほぼいらない澪のそんな言葉に寛子も笑う。

元から厩務員志望でこの世界に入った寛子。
奥原厩舎の愛美とは違い馬に跨ることはないが、それでも体型維持は気になる女子である。
澪と一緒に飲み食いするとそのペースに巻き込まれて翌朝体重計に乗ってみたら……なんて経験もある。
それでも澪は寛子にとっては可愛い妹のような存在だ。

ガーベラは地下馬道を通って本馬場へと駆け出していく。

駆け出していく様は猛獣のようなのはいつも通り。
暑さのイライラもあるが、走れば爽快と言う顔をしていた。
レパードステークスのスタート位置は正面の直線の入り口辺り。
そこから一周と少しのレースだ。

比較的長い直線部分を走るので、位置取り争いはそこまで忙しくない。
故に枠順関係無く実力馬が実力を出しやすいコースと言える。

待避馬でもややテンションは高め。
少し近付いてしまった馬を蹴ろうとしてみたりと、何時もの女王様ぶりに拍車がかかっている。

そんな状態なのでゲート前では、いつもよりはカリカリしているガーベラを周回させて落ち着かせ、ゲート入りは後の方。
テンション高めままゲートインする。

スタートはかなり良いものだった。
特にスタートが得意でも無いのだが、珍しく綺麗に決まって先頭に立ってしまう。
先頭に立ってしまったものだから、ガーベラが行きたがる。
澪としてはこれは難しい判断だった。

このまま行かせていいものなのか。
スタートが決まったのだから流れに任せれば良いのが普通なのだが、このレースは少し違った。
コースの真ん中からスッと先頭に立つガーベラ、それを見ながら比較的外枠に偏った他の先行各馬がポジションを取りに上がってきた。
中でも一番出脚がいいのがハナキオーだ。

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