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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 126

仁藤厩舎にやってきたのはノーザンテースト産駒の牡馬。
名前はリトルウィング。
牡馬にしてはやや線が細い印象だったが厩舎に入って調教させてみたらこれがなかなかいいスピードを持っていて皆目を細めるほどの出来。
因みに澪が気になるソコの部分はまだ誰も確認していないようだが。

「あぁ、んぁあああっ」
「まあ、今はブーちゃんに夢中か」

快感に打ち震える澪の身体を寛子が優しく抱きしめる。

その内、澪にも寛子にも騎乗する男が現れるだろう。
中々そんな男が現れずに拗らせてしまい、馬と交わる者もいるが、それもまた競馬に携わる者としては不思議ではない。
そんな日までは2人で楽しもうと、寛子は澪の頬にキスをするのだった。


リトルウィングは順調に仕上がり、小倉開催でのデビューとなる。
芝の1200mは、この馬のスピードを見るのには良い距離だろう。

このレースには樹里が見に来るだけでなく、シャロンも伴っていた。
久々の再会にテンションの上がる澪だったが、挨拶程度しか会話はできなかったのだ。

「長いバカンスは羨ましいなぁ」
「そうねぇ、長い休みがあったら外国とか行ってみたいよね」

パドックでリトルウィングに跨って、澪と寛子はそんな会話をする。
ノーザンテースト産駒らしい大流星の栗毛の馬体はパッとは見栄えはしないが、後肢の筋肉の発達ぶりは見る人が見ると唸る程見事であった。

女傑ダイナカールの全弟ということもあって人気に推されるリトルウィング。
オークスを勝ったように長めの距離を走ってきた姉に比べてスピードに勝るタイプで仁藤はマイラーではないかと考えていた。

パドックではカリカリするところはなく荒っぽい気性ではないが、たまにキョロキョロ辺りを見回すことがある。

好奇心の強い馬なのだ。
これは厩舎に来た時から物珍しそうにあちこち探索したがったし、厩舎スタッフや他の馬の事も相当気にしていた。
ただ、相当なビビリでもあり、ガーベラに不用意に近付いて威嚇された時には、飛び跳ねるように逃げて小さくなったりしていた。
そんな彼に寛子が付けたあだ名が『キョロちゃん』である。

「お姉さんとは感じが違うよね」
「全弟なのに不思議なものですねぇ」

そんな話を寛子と澪でしながら本馬場に向かう。
小倉競馬場はローカル競馬場らしく中央と比べると小回なコースになっていて、大きさは福島競馬場と同じぐらいで平均的。
だが、コース幅が広く、ローカル競馬場の中では最もゆったりした作りになっている。
ただ2コーナー付近に大きな勾配があり、2コーナーのポケットから発走する1200mのレースはバックストレッチが長い下りになっている事からスピードの絶対値が求められる作りになっていた。
そして、幅の広いコースであれど、スピードに乗ってコーナーに突っ込む事になるので、コーナリングの上手さも求められるのだ。

馬場に出れば待ってましたとばかりに一目散に駆け出すリトルウィング。非常にバネの利いた感じが走りそうな馬だなと澪には伝わってくる。

好奇心旺盛なのはここでも相変わらずで観客席だったりターフビジョンだったりを気にしてあちこちキョロキョロしながら待避所まで突っ走っていく。
あまり乗ったタイプの馬ではないこともあって澪もちょっと面白く思っていた。

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