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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 122

最後の直線。
メジロトーマスにパーシャンボーイが並びかけ、さらに外にシングルロマン。
この3頭が三つ巴を演じ、4番手以降が少し間が開いた。
スズカコバンが猛追し、シロノライデンはやはり大外を回して追い込む。

中団から脚を伸ばすスズカコバンが追っていくその外からシロノライデンが追い抜かす。
そしてそのままゴボウ抜きして中団まで迫る。

残り200m・・・
先頭はメジロトーマスとパーシャンボーイの激しい争い。
そこに必死に食らいつくクシロキング。
シロノライデンはその直後まで迫ってきていた。

残り100mで重戦車の鬼脚がクシロキングを捉えて一瞬で抜き去る。
そして先頭で粘る2頭のすぐ後ろに迫る。

メジロトーマスもパーシャンボーイも必死の叩き合い。
ゴール手前でパーシャンボーイがメジロトーマスを振り切って前に出た。

だが・・・

大外から豪脚一閃。
並ぶ間も無くシロノライデンがパーシャンボーイを交わし切ってゴール。
宝塚記念を二連覇。
しかも全馬ゴボウ抜きと言う追い込み馬として最高の形での勝利だったのだ。

澪は勝利の余韻に浸りながらのウイニングラン。
今日は気持ちの良い快勝だった。
ルドルフが引退しミホシンザンもいない。
だが、これで今の競馬界はシロノライデンが主役だと証明できた気がしたのだった。

「やった!」

勝利の瞬間、喜びと安堵の笑みを浮かべる樹里。
目標としていた夏のグランプリ連覇を果たした。

「人気していたから負けられないとは思っていたけど、よく頑張ってくれたわ」

シロノライデンはこれで夏休み。
秋は再度の海外遠征の話もあったが樹里はそれよりも秋古馬三冠を目指したい、と考える。

澪のそんな考えを他所に、仁藤は真剣な面持ちで樹里に会っていた。

「ファンがこれから思うのは・・・どちらが強いかと言うことです」
「ええ、それは理解できます」

仁藤から示された秋のローテーションに樹里も考え込む。
その仁藤から示されたプランと言うのは・・・
シロノライデンは昨年と同じ京都大賞典から天皇賞秋へ向かうプラン。
そして、スターライトブルーは、毎日王冠から天皇賞秋に向かうプラン。
そのどちらのレースも主戦の澪はどちらかを選ばなくてはならないだけではない。
天皇賞秋での直接対決があるのだ。

「シンボリルドルフとニホンピロウィナーの戦いがそうでしたね」
「ええ・・・ただうちの2頭の場合は、丁度良い距離での戦いだと思っています」

シロノライデンにとってはやや短く、スターライトブルーにとってはやや長い。
それだけに実力伯仲だと思える。

「ファンは見たいでしょうね」
「そうだと思いますし・・・それを見せるのも我々の役目かと」

所有馬同士を競わせる。
どちらも負けて欲しく無いが、ファンは見てみたいだろう。

「出すからにはどちらもベストの状態に仕上げます。ウチの腕利きのスタッフたちを総動員しますよ」
「ファン目線だったら凄く楽しみですね」
「ええ、私の理想としては2頭の1着同着ですね」
「確かにそうですね」

「澪にはギリギリまで悩んでもらいますよ」

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