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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 120

ドバイ、香港と世界の強豪相手に逃げ切ってきたスピードは伊達ではないということ。
五分くらいの出来でも押し切れるのでは、とも澪は一瞬幻想を抱きたくなるが、まだまだ後続が諦めているはずがない。

まずホリノカチドキが差を詰め、その外にロングハヤブサ。
さらにギャロップダイナもポジションを上げてきた。

直線に入り加速するスターライトブルー。
作戦は単純明快。
逃げて逃げて逃げまくるしかない。
ただ身体が重いと言っても、まだ余力は残っている。
後続を突き放していく。

残りは300m程。
差は3馬身。
いくらスターライトブルーに余力があれど、後続も追い上げてくる。
ジリジリと差が詰まってくる。

後、200m・・・
差は2馬身。
スターライトブルーは止まらない。
差もジリジリとしか詰まらない。

そして、残り100m・・・
まだ1馬身半は差が開いている。
このまま行くしか無い。
必死で追う澪。

だが・・・

大外から猛然と追い込んでくる馬。
若干外へ斜行しながら首を左右に揺らしながら大きく振る狂おしげな走り。
凄まじい豪脚で一気にゴボウ抜きしてきたのはギャロップダイナだった。
昨年の天皇賞がブロックと言われた追い込み馬が、その脚を再び爆発させた。

残り50mでスターライトブルーに並ぶ。
そして一気に交わし切ってゴール。
並ぶ間も無しであった。

その実力は本物。
皇帝を破った昨年の秋天がフロックではないことを示す鬼脚。
澪はやられた、という思いで柴坂のガッツポーズとウイニングランを見届けた。

ただ、本調子には程遠い出来ながらも2着に粘り通せたのは収穫だった。

「よく頑張ったね」
検量室に引き上げて、澪はスターライトブルーの鬣を撫でながら下馬する。

調子が悪いなりに頑張ったのは褒めてあげたい。
これでスターライトブルーは秋まで休養で涼風ファームに放牧に出される事になった。


今年の樹里の新馬はノーザンテーストの牡馬は仁藤厩舎にディクタスの牝馬は奥原厩舎に入厩する事になった。
どちらも夏にデビューできそうだと言う話だ。

そんな話もありつつ、夏競馬の前のレース。
フルダブルガーベラはユニコーンステークス。
地方でも勝ってきたガーベラはここでも敵でなく優勝。
次は過密日程になるがジャパンダートダービーに進む事となった。

そして、前半戦のクライマックス。
宝塚記念がある。
シロノライデンは順調そのもの。
G1を2勝しているシロノライデンが実績ではトップ。
G1常連組のスダホークやスズカコバン、クシロキングが上位人気を占めていた。
ただ実績は無いものの素質馬パーシャンボーイや人気薄でも好気配のメジロトーマスも怖い相手でもある。
とは言え、澪はさほど不安感は無い

澪は上半期好調を維持して関西リーディングでトップ。
全国でも3位に位置していた。

途中2度の海外遠征をしながらの好成績。
ルーキーイヤーに大活躍したけどその後伸び悩むというのは競馬に限らず様々なスポーツにはよくあることだが、澪にはそれも無関係である。

シロノライデンの状態も申し分ない。
天皇賞の後も疲れはないしカイバもモリモリ食べる。
パドックでは前を小柄な牝馬が歩いているせいかひとまわり以上大きく見える。

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