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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 115

キタヨシコは血統的に相手をネヴァーベントやロイヤルチャージャーのような力強い系統が合うとエリックは思っていた。
メジロティターンとビゼンニシキはそこを考えると力強さが足りないと見ていた。

「俺はブレイヴェストローマンかリアルシャダイが良いと考えるがな」
「うむ・・・日本の種牡馬レベルならその辺りになるだろうな」

エリックやヘンリーにとって、日本の種牡馬レベルの低さは選択を難しくしている。
姉のアネットに話して、こちらの繁殖牝馬をアイルランドに輸送して現地の種牡馬と種付けするプランも考えているが、まだこちらで工夫してやっていきたいと言う思いが強い。

「来年は姉貴に話して牝馬を譲って貰おうか?」
「それも一つだが、今はまだ色々試してみたいな」

ヘンリーの言葉を聞きながらエリックは向こうを見る。
その視線の先には今度はジョンに突かれて喘ぐ樹里がいた。

「ジュリに栄冠を掴ませてやりたい・・・ここの生産馬で」
「ああ、そうだな・・・俺もそうだ」

涼風ファームの女たちをすっかりモノにして、虜にさせた4兄弟、次のミッションはさらなる強い馬づくり。それを決意するエリックとヘンリーであった。


春のGTは府中の連続開催。
ヴィクトリアマイルは牝馬同士なら負けないとばかりにタカラスチールが快勝。

そして迎えるのはオークス。
リュウノラモーヌが牝馬クラシック二冠目に挑む。
4ハロンの距離延長にも奥原は自信を持っていた。

2番手以降はダイナアクトレス、スーパーショット、マヤノジョウオ。
だが、その差は歴然でオッズの倍率にもそれが表れていた。

ラモーヌの漆黒の馬体は今日も光り輝き、状態の良さが素人目でも分かる。
既に風格すら漂う馬体に奥原も満足げだった。

「いいですねぇ、奥原先生」
「樫はもう決まりですな」
「いやいや、レースに絶対は無いですよ」

注意しないと頬が緩みそうな奥原。
競馬に絶対は無いと言えど、ここまでの状態で送り出せたのだから全て人事は尽くした気分だ。

パドックで澪が跨ると、ゆったりしたラモーヌにグッと気合が入る。
気合いが入りながらも、どっしりと落ち着きがある・・・
レースに向けて馬自身が力を溜めているようにすら見えてしまうぐらいだった。

「全てお任せするわ、澪ちゃん」
「いえ、私もこの子にお任せですよ」

澪が考えているのは、ラモーヌを気持ち良く走らせる事だけだ。
桜花賞から相当な距離延長だが、むしろ距離はこれぐらいの方が良いと思っている。

父モガミは昨年のダービー馬シリウスシンボリを輩出した。
レースにいって真面目で心配する部分が何もない、澪は跨って安心感を覚えた。

スタートは桜花賞の時より少し出遅れた。
しかし今回は距離も長くなるからこれくらいは気にならない。すぐに馬群にとりつく。

桜花賞同様マチカネエルベが逃げる。
ダイナアクトレスは好位4番手あたり、ラモーヌはちょうど真ん中から、少し後ろといったあたり。
距離延長に秘かな自信を持つ伏兵・ユウミロクがラモーヌの後ろにぴったりついてきた。

このレースでの位置取りとしては想定通り。
俗に言うダービーポジションだ。
中団やや後ろで様子を伺う・・・
コースが広く直線の長い東京競馬場だからこその乗り方なのだろう。

バックストレッチに入ってもペースはさほど遅くならない。
遅くなれば自ら動くつもりでいたが、このペースならじっくり行くべきだろう。
それは澪だけでなく中団の馬は同じ感じで、じっくりとレースを進めていたのだ。

3コーナー辺りで先行馬が先頭を捕まえようと距離を詰めていく。
ラモーヌとの瞬発力争いは避けたい先行勢だけに、直線までにマージンを取っておきたい。

先行集団にいるダイナアクトレスに乗る柴坂もその思いは強かった。
年齢も実績も中堅に差し掛かった彼は、昨年ギャロップダイナで大仕事をやり遂げ、今勢いのある騎手の1人だ。
本人も本命で乗るより対抗や穴馬に乗ると燃えるタイプで、どうにかラモーヌを負かしたいと言う思いが大きい。

「やってやるさ!」

4コーナーから手を動かし、ダイナアクトレスを先頭に並びかけさせていく。

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