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駆ける馬
官能リレー小説 - スポーツ

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駆ける馬 108

「良い馬を選ぶね、アズサは」

膝の上に梓を抱きかかえて頭を撫でるエリック。
メンデスはリファールの孫にあたるマイラーで、芦毛の強い血統を持つ。
しっかり身の詰まった感じで、いかにもスピードがありそうだ。

「リファールは、今一番勢いのある血統だろうな」

エリックが言うには、種牡馬にも血統にも『旬』の時期があるらしい。
その旬の時期に名馬が生まれやすく、日本でもシリウスシンボリやラモーヌなどを出している今がリファール系統の旬と言う事らしい。

「じゃあ、種付けはその辺りで考えてるの?」
「そう簡単ではないが、それも候補だと言う事だ」

種牡馬も年によって旬の時期があり、同じ種牡馬だけ付けていればいいと言う訳でないとエリックは考えている。
色々な可能性を考えて毎年最良と思われる相手を探しているのだ。

「日本馬ではミスターシービーやアンバーシャダイも良い馬だろうな」
「ええ、どちらも実績馬ね」

エリックが日本の馬もチェックしている事に樹里も感心するが、彼は相手を見極める為にスタリオン巡りを欠かしていない。

年明けから種付け時期まで行われる種牡馬展示会にも積極的に足を運び、関係者にも話を聞いて回る。兄弟の中でも聡明なエリックは日本語も徐々にマスターしており普通にコミュニケーションもとれる。
彼を見た当初は訝しむ者もいたが、強い馬づくりに挑む熱心な姿に感心するものが多くなり、「鈴木さんの牧場の熱心な外人さん」は馬産地での有名人になっていた。

「ルドルフも治療を終えて帰ってくるのね。種牡馬としてのルドルフも楽しみだわ」
「ああ、また一度馬体を見に行かないとな」

今年の種付けには間に合わないが、シンボリルドルフも引退は確実視されている。
きっと来年は馬産地を賑わす事だろう。

そんな夜、子供達を任して風呂に入った樹里。
共に入りに来たのは真奈だった。

幸子が若々しく綺麗になるのと同じく、真奈も綺麗になってきている。
女として綺麗になっているのと同時に、これまでは余り感じなかった母性も感じさせるようになっていた。
奈帆1人の時には母親らしさは余り感じれなかったのは、若くして産んだからだったのかもしれない。

「樹里さん、すいません・・・母も私も、女である事を優先しちゃって・・・」

今年も2人してエリックとの子作りに励んでるとは聞いた。
だが、何故かそれが嬉しく思う自分がいた。

「構いませんよ・・・真奈さんは、涼風ファームの代表繁殖牝馬なんですから」
「・・・何かその言葉が嬉しく感じちゃいます」

樹里の言葉に笑みを見せる真奈。
エリック達が来て一年と少しだが、真奈の馬に対する知識や技術は飛躍的に上がっている。
エリック達との会話についていけてるぐらいだ。

もうエリックから折檻めいた教育的指導を受ける事を無くなってると樹里も聞いた。
ただ、真奈は自分から望んで毎日エリックに尻を叩いて貰ってるらしいが。

「牧場の為に沢山子供を産んで下さい」
「はい、勿論です」

何だかおかしな会話に互いが笑う。
樹里は立場上自分が産めないから、その分真奈に産んで欲しいと思っている節があった。

真奈のパンパンに張った乳の先を摘む樹里。
ピュピュッと噴き出すミルクと真奈の甘い声。
幸子も母乳が豊富だが、真奈もその遺伝なのか豊富な方らしい。
息子である慎一と弟である幸太郎に乳を与えても余ってしまうと言う量に樹里も驚いたぐらいだ。

「サクちゃんも随分大人になったのですけど・・・ママのおっぱいだけは反応するんですよ」
「そうなの?」
「ええ、他は見向きもしないんですけどね」

サク・・・つまりサクラスマイルの84も順調で、このまま行けば夏までに入厩できそうらしい。
入厩先もサクラ軍団を管理する堺調教師の弟子、平川厩舎に決まった。
そして競走馬名も涼風ファームに因んだサクラスターオーと決まったのだ。

「サクちゃんも逞しく成長しましたね」
「ここにやってきた頃が信じられないくらい元気な子になりましたね」

この子もクラシックを賑わす子になりそうです、と真奈は願望も含めて言う。
我が子を見る親の目である。

サクラの冠を持つ馬は名トレーナー・堺調教師の愛弟子である野島太志を主戦に起用されることが多かった。
このサクラスターオーもきっとそうなるのだろう。

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