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Driver's High!
官能リレー小説 - スポーツ

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Driver's High! 6

既に“本命”に接触して交渉しており相手次第であるが確実に来シーズンには参加する流れ……ハヤテも元々は下部カテゴリーの参戦する予定であるが急な事で戸惑っているのも事実だ。
「……ここもヤキが回ったな」
「多いのですか?」
「ペイドライバーって言うのはそれだけ実績が求められるからなぁ……ジョーの席を横取りした奴もそうだが腕前と経験がなってなかった。そのチームはジョーと交渉を試みたが無理だった」
「不信感?」
「そうさ……さて、表彰台はイケるかな?」
「……完走出来れば御の字です」
だがハヤテの表情は表彰台を狙っている感じにも見えた。



翌日、本戦開始……シグナルがレットからグリーンに切り替わりスタートグリットにあるマシンが一斉にエキゾーストサウンドと共に疾風を巻き起こす。
第一コーナーの飛び込みに成功したハヤテはホッとする、本当に無茶をして巻き込まれる事は珍しくない。
「ーハヤテ、先程のクラッシュで四台リタイアだー」
「了解、旗はでるか?」
「ーでない、GOー」
無線機の音声によりハヤテは思う。ここの第一コーナーの外は曲がり切れずに飛び出したマシンを速度を落とす為に砂が使用されておりフォーミュラーカテゴリーのマシンは構造上後輪駆動と車高がほぼ無い……つまりリタイアである。こうなるとドライバー同士の口論は当たり前で時には乱闘になる事もある。クラッシュが余りにも酷いとレースが中断か仕切り直しもある。
マシンが曲がり切れない他にもブレーキが突然壊れてウォールに激突した事もあり得るのがこの世界だ、その為にサーキットは緩衝材を設置するのが常識。
「ーどうだ?ー」
「オーダー通りに完走、気象情報は?」
「ー発生は五分五分だ。フルウェットとインターミディエイトはウォーマーにセットしているー」
フォーミュラーカテゴリーに限らずサーキットでレースするマシンのタイヤにはノンスリットである……ただし雨天になるとノンスリットで走行する事は無謀でありハイドロプレーニングになれば終わりだ。まずフルウエッットは大雨用、インターミディエイトは小雨用であり溝のパターンは異なる。ウォーマーはタイヤを温める装置だ。
「ー雨がひどいと切り上げるからな……一昨年の事もあるー」
あれは主催者も売上とレーサーの安全を天秤にかけた結果だ。監督しては主催者側の言い分も理解している。
「今回だけは雨はゴメンだ」
「ーレインウノも嫌がる事はあるんだなー」
「……レーサーだからな」
ハヤテは会話しつつもハンドルとペタルを操作する、バックミラーに映るマシンを見て思う事はある。お願いだから無茶はするなよ……こっちも日本でフォーミュラーカテゴリーのレースをしているんだ、ルールに詳細な差異があるが素人ではない。
「!」
ハヤテのマシンをアウトコースから抜こうしたマシンはそのままスピンした。思った以上に外は汚れて来た……タイヤは消耗が激しくマネジメントが出来なければバーストもある。
「イエローか」
あの分ではシャーシまで破損しているだろう……これもドライバーの生存を高める為である。

昔と比べるとモータースポーツによる死亡事故は減っているがそれでも死亡事故は起こる。その度に安全装置の導入や規則改正が繰り返されている。
「ーBOX!BOX!ー」
「OK」
セーフティーカーが入る、その間は追い抜き禁止と速度が抑制により車間距離は無くなる。だが追い抜きが出来ない訳でもない、ピット作業でタイヤ交換かガスチャージをする。
「ーウノ、悪いニュースだ。雨が来るー」
「お膳立てしたいようですね、ここの勝利の女神様は」
幸いここはSUPERGTの様に時には斜めにマシンを挿し込む事はない、この様にセーフティーカーが入ると一斉にピット作業になり、いち早く抜け出せば追い越せる……だがそれはリスクとの背中合わせ。
「ーフルでいくぞ!ー」
監督、賭けたな……だが嫌いではない、この世界は博打だ。ジャッキアップし大口径のガスチャージチューブが給油口に差し込まれタイヤ交換を済ます。
「巻き込まれるなよ!」
ハヤテはアクセルを踏み込みスッと前に……後方のマシンのドライバーが怒りを露わにする。

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