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Driver's High!
官能リレー小説 - スポーツ

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Driver's High! 5




ドライバーミーティングを終えたロブとマックス……前回の一位と三位であるので下部カテゴリーでも注目はされる。二位入賞者が居ない。
「アイツは?」
「スポンサーがハイサイドしたってさ……不正経理、そいつも関与していた」
マックスは御茶けているが仕事に関しては厳しい。実際父の仕事の手伝いと称して幾つかの会社の社外取締役をしているがそちらでも評判が良い。
「そのチームは慌ててレーサーと契約したけど、ハヤテ ウノ?」
「日本人だな……アイツかぁ」
「知っているんだ」
「SUPERGTで組んだドライバーが言うにはレインウノ、雨天のレースじゃ強いから“カッパの宇野”って呼ばれている」
道理で報道陣が多い訳だ。
しかもアジア系と分かる面々……F1下部カテゴリーとは言え日本人が来るのは珍しく次のレースは彼の祖国にある鈴鹿サーキット……。
「あちらでもフォーミュラーカテゴリーのマシンがあるからそれなりに強い……まあこの前のSUPERGTの時もエントリーしていてな……雨の日だったら負けていたよ」
マックスがここまで言うには相当な腕前……ロイは報道陣に囲まれたあどけなさが残るウノを見た。



「ハヤテ、シートの微調整に手間取ってしまった」
「問題はないです。自分は臨時ですし……警察のガサ入れで相当参ってますよね?」
監督はキョトンとするとハヤテは苦笑する。逮捕されたペイドライバーの体格に合わせているだけにこの様な時が困る。予選アタックが開始されたがハヤテの成績は芳しくない。
「親父、ドリフト競技の先駆者ですけど公道でヤラかして何度も警察の世話になってますので、ガキの時に目の前でガサ入れ喰らって」
「それはまた……」
「親父もあの頃はヤンチャでしてね……まあ色々とあったのですが今は大人しくしてますよ」
ハヤテもチーム事務所に招かれた時には書類が散乱しており警察の鼻息の荒さを察した……そしてほぼぶっつけ本番でサーキット入り、よくもまあ平均タイム近くを叩き出しているだけでも凄いのだ。
「この時期にここで雨は?」
「そんなに降らない、ただし山間部とあってか近年はゲリラ豪雨になる事もある……一昨年なんてレース終盤にセーフティーカーが入ってね……レースの後も大荒れさ」
あの時は酷く主催者側の判断にも問題があるとして遺恨を残している。
「とにかく今回は完走を目指してくれ」
「了解」
スポンサーらもとりあえずレースは出場できただけでも有難い訳である。
「邪魔するよ」
「ボビー!お宅の息子は好調じゃないか……こっちはドライバーもメインスポンサーも飛んで大騒ぎさ」
プレスパスをぶら下げた往年の名ドライバーに監督は笑う。若い頃はメカニックをしていたが色々とあり今はこのチームの監督に祭り上げられた。
「噂の日本人ドライバーにな、ああこっちはアシスタントのサラ」
ハヤテも気が付き会釈する。
「サラ・マリー・オーウェンです」
ハヤテはハッと気が付いた。確かあの人には妹が居た……。
「ハヤテ?どうかしたか?」
「何でもないですよ、さてもう一回やってみますか」
なんせこの場所は初めてだ……幾ら雨天レースが得意でも完走出来る保証はない。

「(あの方の妹か)」
ハヤテはそう思いつつヘルメットを装着した……このサーキットはテクニカルコース、今回ばかりは雨は降って欲しくはない。


数時間後、ハヤテは上位グリットを獲得……これにはハヤテの走りに焦った他チームのドライバーらが無茶をした結果である。予想外であるがハヤテはピンポイント天気予報や過去の気象データに目を凝らす……雨が降ればチームオーダー通りに完走に徹する。だが可能な限り順位を上げる……。
「よいかな?」
「Mr.ボビー……」
ハヤテは顔を上げるとボビーは言う。
「ジョーに英語を習ったか……」
「はい」
「品が良い発音だからな、どうだ?ここは?」
「技術力もありますから、ドライバー次第です」
「代理と思っているのか……」
「ええ、数戦程度になると思いますよ」
ボビーも知っている事だがチームとしてはレースを辞退すれば罰金で済まされない事態だ。

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