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Rebuild〜女ふたりで世界を変えよ〜
官能リレー小説 - スポーツ

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Rebuild〜女ふたりで世界を変えよ〜 5

話はいい方向に進みつつあった。

「んっ?」
エマのスーツのポケットに入れてあったスマホが振動した。

「ごめんキャロルさん、ちょっと席を外します」
「ええ、構わないわ」
エマがスマホ片手に部屋から出て行く。
電話の相手はエミリーだった。


キャロラインとメンドーサの話は続いていた。
「シアトルのファンは皆熱くて優しい。応援してくれるファンのことは愛してるし、この街も好きだ」
「まだ、不満なことはあります?」
「不満は…ないかな。ただ、子供たちが、強いチームで投げるパパが見たい、って言うんだ。テレビでポストシーズンの試合を見てて、なんでパパはあそこにいないの?って聞かれて」

若きエースにはすでに3人の子供がいる。
すでにスターの風格を兼ね備えているメンドーサも、家庭では良き父親だ。苦笑する顔にはその空気が醸し出されてる、とキャロラインは感じていた。


「すいません、失礼しました」
「いえいえ」
スマホ片手にエマが部屋に戻ってきた。

「エミリーからでしょ?」
「うん」

「トラビス・フレッチャーがオプトアウトを行使せずにウルヴスに残留することになりました」
「おお、マジか!」
エマの報告にメンドーサが声をあげた。

トラビス・フレッチャーは33歳の左腕。ウルヴスのクローザーを務めてきた。
実績も輝かしいが、シーウルヴスにとっては若手の良き兄貴分としても必要な存在であった。

「彼はメジャー屈指のクローザーでもあるけど、それ以上に素晴らしい人間性を持っているんだ」
「ブルペンの主力では最年長ですかね」
「ええ」

今シーズン後半はブルペン、それに先発投手にも若手が増えフレッチャーとメンドーサはそのまとめ役としてを担っていた。

「彼がチームに残ってくれるのは嬉しいよ」
「では、あなたはどうします?」
キャロラインがメンドーサに尋ねた。メンドーサはしばらく腕組みして考える。


「来シーズンすぐに優勝、プレーオフ争いできるとはいかないかもしれませんが」
「ああ、じっくり力をつけていけばいい。君たちとなら、一緒に戦えるかもしれないと思ったよ」

メンドーサがゆっくりと立ち上がる。
キャロラインがそれに応じるように席を立ち、両者がガッチリと固い握手を交わした。


『シーウルヴズ、エースと長期契約成立!』

翌日の地元紙は大きな見出しで交渉の成立を報じる。
メンドーサの契約は最大8年、総額200M。4年目のオフに本人にオプションの選択肢アリ、という内容。
シアトルのメディアとファンはこれを諸手を挙げて歓迎した。

ワールドシリーズが終わると各球団が来季に向けてのチーム作りに本格的に着手する。

ウィンターミーティングを経て、各チームは一部の有力FA選手をめぐり熾烈な獲得合戦を繰り広げる。
その一方で別の球団はトレードの話を進める。
主力クラスの選手を獲得し来季の覇権を狙う「買い手」と主力をトレードで放出し将来性あるプロスペクトを見返りにもらう「売り手」の球団のやり取りが、あちこちで噂された。


そんな中シーウルヴズはかねてから獲得を望んでいた2人の日本人選手との契約にこぎつけた。
先発サウスポーの平賀翔馬とリードオフ外野手の山木修平。ともに3年契約、4年目以降は球団オプションという破格の内容。

その一方でエディ・マックイーンのトレードも成立させた。
実績のある一塁手を欲していたワシントン・イーグルスとのトレードで2人のマイナー選手を手に入れた。
一人は24歳の中継ぎ右腕で場合によってはブルペンの戦力にもなる。もう一人は18歳の遊撃手で、今年プロデビューしたばかりの素材型。こちらはじっくり育てる。

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