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Rebuild〜女ふたりで世界を変えよ〜
官能リレー小説 - スポーツ

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Rebuild〜女ふたりで世界を変えよ〜 1

MLB(アメリカメジャーリーグ)の長いレギュラーシーズンは最後の最後、162試合目を迎えていた。


『まったく、今シーズンを象徴するかのような酷い試合だったわね!先発ピッチャーは四球でピンチを作って、ランナー背負って甘いコースの配球で打たれて、野手は野手でアウトを取りたいときに限ってエラー。打つ方はどいつもこいつも低めの変化球を簡単に空振りするし絶好球は打ち損じて相手を助けてばかり。今年何回同じシーンを見せられてきたことか!監督もフロントも何考えてるの!?FXXK!!!!!!』


祖父母の代から熱烈なシアトル・シーウルヴズのファンである24歳のエマ・ラザフォードは、シーウルヴズの試合をテレビで観戦し、安物のビールをヤケ酒し泥酔、その勢いで自身のSNSにこのような書き込みをし、怒り冷めぬまま就寝するのだった。
…この書き込みがシーウルヴズ球団の目に行き届くことも知らずに。




「うぅぅう……昨日は飲み過ぎた……なんであんなに飲んじゃったかな〜…あー、そもそも、悪いのはシーウルヴズなのよ、あんな酷い試合で、最終戦くらいいいとこ見せなさいよ…まったく……」

ズキズキ痛む頭で何とか仕事をこなし帰宅するエマ。
ノートパソコンを開いて起動すると1通のメールが来ていることを知る。

「何なの、見たことないアドレス……えっ!?」

エマは自分の目を疑った。メールの内容は―

『エマ・ラザフォード様 貴女と会ってお話したいことがありますので、明日の午後3時に球団事務所までいらしてください  シアトル・シーウルヴズ球団公式』




翌日午後3時―エマは言われたとおりシーウルヴズの球団事務所にやってきた。なんだか豪華な応接室に通され、球団の偉い人がやってくるのを待った。正直、生きた心地がしなかった。

本拠地スタジアムのサイファー・フィールドには自転車で15分で行ける。球団事務所も目と鼻の先。慣れ親しんだ球団ロゴ。壁に掛けられた球団OBの在りし日の姿。なぜ自分がここにいる?すべては最終戦の日の夜、泥酔した勢いで書き込んだアレが―


「お待たせしました」

応接室に入ってきたのは、エマと同世代の女性。きっと彼女はお茶くみだか単なる秘書であって、そのあとで老紳士か精悍なビジネスマンが入ってきて「この小娘が大口をたたくな!」とかって言われてつまみ出されるんだろ、なんて思っていた。

「初めましてエマ・ラザフォードさん。私シーウルヴズオーナーのキャロライン・アダムズと言います」
「はぁ…………は!?」

突然彼女の口から出た言葉にポカンと口を開けて絶句するエマ。
キャロラインはそんなエマをよそに話を続ける。

「先日の貴女のSNSの書き込み、拝見させていただきました」
そこではッと現実に引き戻されるエマ。
「あっ!あれはッ、そのっ、ほんの出来心というか、あの時はものすごく酔っぱらってましてっ勢いで…」
「いえ、謝る必要はありません。私も同じ思いを抱きました」
「あっ」

キャロラインの瞳は一点の曇りもない。

(この人、本気だ)

エマは悟った。

そこでエマは恐れ多くもキャロラインに質問してみようと思った。

「あの、オーナー…あなたのお父様だったと思いますけど…」
「父は先月病気で亡くなりました。メディアには公表してません。一応表向きには祖父がオーナー職に復帰した体でやっています」
「へ、へぇえ…」
知らなかった事実がポンポンと出てくる。エマは驚き、あっけにとられるほかなかった。
一方のキャロラインは努めて冷静に振る舞いながらも、エマに心を許しつつあった。

「エマさん、おいくつですか?」
「に、24歳、ですけど…」
「奇遇ですね、私、同い年です」
「えっ!?」
キャロラインが柔らかな笑みを浮かべた。

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