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Rebuild〜女ふたりで世界を変えよ〜
官能リレー小説 - スポーツ

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Rebuild〜女ふたりで世界を変えよ〜 3

アダム・ダンクス。
21歳の一塁手、3年前のドラフトで指名した選手だ。
打撃はパワフル。しかし大振りでマイナーでフル近く出場した2シーズンは三桁の三振も喫した。しかし選球眼もよく100近い数の四球も選ぶ。身長2m近い巨漢だが身のこなしは柔らかく守備は普通に上手いと言えるレベル。決してDH専門ではなく将来の主砲として期待がかかる。
最近はマイナーのプロスペクトも熱心に調べているエマの特にお気に入りの選手でもあった。

「そうですね、彼は将来の主力として期待しています」

キャロラインが期待を寄せるような笑みを浮かべると、エマもほっと一安心。


「補強ポイントは?」
「若い先発投手を2人。内野手、外野手も1人ずつ獲得できたら。リードオフ向きを1人、長距離打者を1人。捕手は将来性ある若手を競わせます」
「予算は?」
「それは、限度は設けません!!」

アダムズ家はアメリカ有数の富豪。愛するチームを強くするならいくらでも金は出す。しかしそれがうまくいくかは別だ。

「ポスティングでMLBを志望する日本人が2人いますね」
「どちらも若くて素晴らしい選手です。今シーズン、日本にスカウトを送って視察してきました」

ひとりは25歳のサウスポー、平賀翔馬。
今シーズンは先発投手として抜群の安定感を誇り防御率はリーグ2位、14勝を挙げた。豪速球と呼べるほどの球の速さはないが優れた変化球で三振が取れるし四死球も少ない。
仮にメンドーサの残留に成功すれば、左右の両輪として期待ができる。

もうひとりは27歳の外野手、山木修平。
走攻守のすべてにおいて優れたいわゆる「5ツールプレイヤー」であり、さらに打者として高いレベルを要求される出塁能力と選球眼も兼ね備えている。
衰えの顕著なマックイーンの代わりになりうる選手だ。

「二人ともぜひウルヴズに欲しい選手です」

エマとキャロラインは同い年だけあってすぐに意気投合し、シーウルヴズの今後について何時間もかけ熱く語り合った。

「エマさんの情熱、とくと感じました」
「すいません、ファン心理と感情ばかりですが」
「いいえ、今までの、祖父や父の考えに足りなかった部分かもしれません」

キャロラインは微笑みそう言った。

「3日後に大事な話を迎えるので、気を引き締めましょう」
3日後の大事な話とは、カルロス・メンドーサとの面談である。


キャロラインと会って話した次の日、エマは勤めていた会社を辞めた。
理由は「起業するための勉強を始める」ため。地元の誇りであるプロ野球チームを動かす大事な役職に就いた、なんてことは誰にも話すことはなかった。


夜。
キャロラインはシャワーを浴び身体にバスタオルを巻いただけの姿で自宅の高層マンションの窓からシアトルの夜景を眺める。
明かりをつけていない部屋に、彼女の綺麗なブロンドが映える。

「キャロル」

キャロラインの背後に男が立ち、その肩を優しく抱く。
ボーイフレンドのエリック・ホシザキ。日系で、会計士をしている26歳。

「仕事はうまくいきそうかい」
「ええ、最高の戦友に巡り合えたわ」

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