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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 9

「それで問題ありませんわ・・・それから、温泉ダービーにはジェイカーマインをお願いします」

温泉ダービーはこの競馬場のダービーだ。
ダービーとは言え地方限定レースなのだが、まだこれを制した事の無い紗英と碧には大きな意味のあるレースだ。
ジェイカーマインはもう1頭の素質馬で、こちらは生粋のダート血統である。
碧の手によって初勝利を上げたはかりの馬だが、ジェイエクスプレスと並ぶ2歳馬の看板だ。

「分かってるわ、こちらも碧で・・・」
「勿論、私達の愛する碧ちゃん以外の騎手は駄目よ」

中央より厩舎と所属騎手の結び付きは強いが、だからと言って大きなレースは勝てるベテランに頼む事は無いとは言えない。
だが、少なくとも樹里は碧以外のジョッキーに自分の馬を託す気は無いようだ。

「碧ちゃんはこの競馬場のトップになれる逸材候補生よ。私は。すべての馬を碧ちゃんと紗英に託してるわ」
「碧は、それだけのことができる可能性を持ってるからね。私だって期待してる」

樹里と紗英からそんな言葉を投げかけられ、碧は無言で、顔を真っ赤にして俯いてしまう。

食事会を終え、宿舎まで戻ってきた碧。
すっかりあたりは真っ暗になる中、宿舎の浴室へシャワーを浴びにやってきた。

「あら、碧ちゃんこんな時間に珍しいじゃん」
「ちょっと先生とオーナーと食事してまして」

背の高いモデル体型の女性が碧の隣に来た。
厩務員の星野真奈美、廃止になった他地区の競馬場から黒崎厩舎にやってきた苦労人だ。

真奈美の堂々としたロケット型の爆発は、毎度の事ながら碧も見とれてしまう。
碧も巨乳ではあるが、真奈美のには到底敵わない。

「相変わらず、真奈美さんって凄い・・・」
「ああ、これ・・・嫌な思いもしたけど、今はいいかな」

嫌な思い・・・
かつては真奈美はこの爆乳に悩まされていた。

彼女は地方競馬の調教師の娘で父の所属する競馬場で騎手としてデビューした。
そして碧と同じく抜群のルックスでアイドルジョッキーと呼ばれた。
しかし、碧ほど才能に恵まれてる訳でないが、ルックスでちやほやされると言う本人も不本意な扱い。
碧でもやっかみは多かったが、彼女の所属する地方競馬のやっかみは並大抵ではなく・・・
様々な嫌がらせやセクハラを体験する羽目になった。

それだけでなく斜陽の競馬場関係者から懇願される形で水着グラビアでの宣伝に駆り出されたりもした。
また競馬場での水着イベント等も開催されてそれはそれで盛況であったが、盛況であったが故に逆の効果も大きくなってしまったのだ。

同僚騎手や調教師からのセクハラは相当酷くなり、馬主からは枕営業を求められる始末・・・
まともに男と付き合った事すら無い真奈美は、いつの間にかビッチ呼ばわりされ、やってもいないのに同僚騎手や調教師全員と寝たとか、馬主から身体で主戦騎手を得たとか言われるまでになってしまった。

更にこの体型故のハードな減量。
それは酷い環境と共に真奈美を心身共に苦しめて行った。
生理も止まり、限界が来た彼女が倒れたのはデビューから五年目・・・
そのまま療養中に所属地方競馬が廃止された時は、むしろホッとしたぐらいであった。

父は厩舎を畳み、幸いな事に兄弟の経営する工場勤めに転職でき、真奈美もそこで事務員として就職できた。
ただ、元来馬が好きであった真奈美は、あの忌まわしい騎手時代が遠ざかるにつれ馬にだけは触れ合いたいと思うようになっていた。
そこで、その町近郊にあった競馬場に足を運んだのだが、そこは紗英や碧が現在所属する地方競馬だったのだ。

そこでたまに観戦するようになった真奈美。
パドックで馬を曳く美女がいる事に気付いた。
それがこの競馬場で前岡軍団と覇を競う名門黒崎厩舎の調教助手、黒崎紗英と知ったのは暫くしてからだった。
彼女は騎手でないが、調教師を父に持ち競馬界に身を置く境遇に親近感を覚え、よくパドックで紗英を眺めていたら・・・
ある日、紗英から声をかけられたのだ。
『星野騎手ですよね?』
『ええ、以前は・・・今は引退してますけどね』
そんな会話と紗英が自分を知っていた事に嬉しさ半分、警戒半分で真奈美は受け答えした。
それから互いに話すようになったのだが、紗英は真奈美の悪い噂を知らないのか、知ってて気にしてないのか話題に出す事すら無かった。
真奈美も警戒心はあったものの、知らぬ間に紗英の人柄や美しさに引き込まれていったのだった。

そして、彼女達が出会って暫く・・・
紗英の父が急死。
そして黒崎厩舎のスタッフ大量離脱・・・ 
日に日に消耗していく紗英に真奈美が切り出す。
『私を黒崎厩舎で雇ってください・・・』

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