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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 76

ジェイアルトゥーベは中枠のスタート。
余り好きな場所ではない。
ただバックストレートからのスタートは落ち着いていけるのが好材料だった。

そしてゲート入り。
やはり一番最後。
ちょっと嫌がり、ゲートに入ると荒ぶる。
いつものジェイアルトゥーベだった。

スタートの合図と共に爆発的に飛び出す。
そして他馬を置き去りに加速していった。
相変わらずのスタートだが、碧は違いを感じていたのだ。

ジェイアルトゥーベのフォームが柔らかく感じる・・・
精神的にはアレのままだが、走り方に固さがなくなってる。
これは、一段成長したのかもしれない。

由梨の馬へのあたりの柔らかさと、夕美の抜群の仕上げでただの暴れん坊が稀代のスピード馬に成長している。
ジェイアルトゥーベはすぐにトップスピードに乗ると他の先行馬を制して楽にハナを奪った。
谷口はすんなり好位を追走し、前岡は若干出遅れて中団あたり。
エレナは1頭だけポツンと離れた最後方だ。

バックストレートから3、4コーナーを回って直線を走るコース。
今のジェイアルトゥーベには小細工はいらない。
快調に飛ばし、2番手からは4馬身程。
ドンスピリットは強いが、このスタートダッシュからのアドバンテージで押しきるつもりだ。
しかし、すんなりとはいかない。
松戸の乗る牝馬サンケンレナード、野田のアマホームが3コーナーから猛然と迫ってくる。
ハイペースになるのは彼らも苦しい筈だが、このペースだとジェイアルトゥーベに追い付けない・・・
苦肉の策と言う事だ。

谷口は動かない。
そして前岡も馬を落ち着かせ中団待機。
この人気2頭は自分のペースでレースする選択をしたようだ。

ただしジェイアルトゥーベも自分のペースで逃げている。
ハナさえ切れればなかなか止まらない馬を捕えるのは至難の業である。

4コーナー。
ジェイアルトゥーベが先頭でターン。
アマホームはすぐ後ろまで来たがこちらの方が手ごたえが怪しい。
代わってドンスピリットが追い上げ、大外からミノアブソルートがまくってきた。

しかし韋駄天は止まらない。
得意の短距離コースであれば、むしろハイペースで丁度いいぐらいだ。
短い直線に入り更に突き放すように加速する。
ドンスピリットまでは5馬身。
その差は詰まる事なく残り100m。
ミノアブソルートが追い上げてくるが、ドンスピリットまで届くかどうか。
ジェイアルトゥーベは遥か前である。

しかし内ラチ沿いから強引なまでに追い込んでくる馬が1頭。
ミノアブソルートの追い込みすら上回り、ドンスピリットも抜き去る。
それはライヴタイム。
前岡剛典が怒濤の追い上げで迫ってきたのだ。

しかし順位は変わらず、ジェイアルトゥーベがレコード勝利。
だが、ライヴタイムも2馬身差まで詰め寄っていたのだ。

ウイニングランを決める碧の所にエレナが馬を寄せてくる。

「おめでとうございます!」
「ありがとう・・・エレナちゃんも頑張ったじゃない」

碧がそう返すと、エレナは頬を赤らめてはにかむ。

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