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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 72


「なんか、昔の話知らなかったら普通にいい人だと思うよね」
「そうだね」
にこやかに記者の質問に答える野川を、碧と亜沙美は冷ややかに眺めていた。

「お姉ちゃんがいた競馬場の廃止前、来たことがあったけど、すごい人気だったよ」
「だろうね」

碧は野川が騎乗していないレースで1勝を挙げた。
そしていよいよメイン、フローラステークスのパドックに出走馬が登場する。

ランドマインタルトは少しうるさい所を見せているが、これはいつも通り。
毛艶も良く、体調の良さと仕上がりは見て取れた。
美月のマイティコサージュも落ち着いていていい仕上がり具合で、これもいい勝負ができるだろう。

そしてやはり、野川のディスコカンパニーの出来の良さは目が行ってしまう。
調子のいい実力馬に名手が乗ると言うのは、それだけで脅威的である。

そして碧が騎乗すると、ランドマインタルトがやや落ち着きを見せる。
久々復帰の夕美も、それだけで碧の実力が産休前より上がっているのが見てとれて思わず笑みを漏らす。

「全くオトナのオンナの騎乗してるわ、碧ちゃん」
「うん、すっかりオンナのオンナだからね!」

意味深な会話を楽しませながらも、碧は馬をリラックスさせていく。
最近はあの利かん坊のジェイアルトゥーベすら言う事を若干聞くようにはなってきてるだけに、この程度ならお手のものだ。

程よい気合の乗り方で本馬場へ入り、スタート地点まで走っていく。
今日の具合なら好勝負、頭まであっていい。

雲一つない快晴、パンパンの良馬場。
ランドマインタルト自身はどんな馬場でも苦にしない馬だが、乗ってる方としたらいい天気の方がいい。

ゲート入りまですんなりいった。
スタートもばっちり決まり先団につける。
前走は逃げ切ったが、ほかに何が何でもという馬がいれば競りかけないし、番手でも十分競馬ができる。

府中の2000mはかつて難コースと呼ばれていたが、改修によって走りやすくなっている。
スタート直後の緩くなった2コーナーを回りバックストレートへ。
ランドマインタルトは2番手追走。
マイティコサージュとディスコカンパニーは中段辺りの位置取りだ。

ペースはやや遅め。
これ以上遅くなると先手を取っても良いが、このペースなら想定内だ。 
ディスコカンパニー以外の有力馬は先頭集団にいるから、恐らくディスコカンパニーの動き出しは若干早い可能性はある。

ランドマインタルトのスタミナには自信があるし、並ばれても抜かせない根性といい脚を長く使える強みもある。
ディスコカンパニーは瞬発力タイプの馬で、ランドマインタルトとは正反対だ。

4コーナー。
ランドマインタルトがジワリと先頭をとらえに行く。
それを見て先行する人気馬、ティーパーティーとノーブルグレイスがついてくる。
ディスコカンパニーは外から動き出し、マイティコサージュは内に潜り込む。

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