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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 68


「美波さん、お子さん、産んだんですか?」
「もちろん…相手が逃げようと授かった命を潰すことなんて出来ないもの」
「それって、いつ…」
「まだ碧が騎手学校にいた頃、もっと前かな?」

目の前では亜沙美がバックで龍也に突かれながら駿太のモノを咥えていた。
美波がちらりとそれを見ながら碧に昔のことを語り始めた。

それは美波が黒崎厩舎に入った頃に遡る。
里穂と美波は厩務員過程の同期。
美波は遠縁だった黒崎厩舎に勤務先が決まり、その伝で里穂も黒崎厩舎へと入った。
当時の黒崎厩舎は勢いがあり、名伯楽黒崎新五郎を中心に、番頭的立場で調教を統括する木原洋介。
そして熟練の厩務員達。
その中で新任の女子二人は圧倒されるばかりであったが、後の木原洋介の妻である新島美智子のサポートで何とかやっていけていた。
この新島美智子は美波の従姉にあたり、黒崎新五郎の姪でもあった。

そしてその黒崎厩舎の主戦騎手こそ、野川賢人。
当時24歳にして豆州湊の帝王、谷口忠弘と互角に戦える若き名手と言われていた。
しかもイケメンかつ物腰も柔らかく、美波や里穂が心惹かれたのは言うまでもない。

しかしこの男、女癖はすこぶる悪かった。
当時、彼と付き合っていたのは新島美智子。
理由は黒崎新五郎の姪と言う立場だったからだろう。
ヨーロッパ留学中の紗英やまだ高校生の龍也が後継者としては立場が弱いのもあってか、野川は最初美智子に目をつけたようだ。

だが、この男・・・
美智子と付き合いながらも美波にも手をだそうとしたのだ。
まだ純朴だった美波を言葉巧に落とし、肉体関係に持ち込んだ。
それが丁度、美波が入って2年目であったが・・・
美波が妊娠してしまい修羅場になった。

厩務員として、黒崎厩舎の身内としての立場のあった美智子と、外面の良い野川と言う事で美波が一方的に悪者になり黒崎厩舎から追い出される羽目に・・・
美波は途方にくれながらも子供を産み、再び黒崎厩舎に帰ってくるまで風俗で食いつないでいたのだ。

そして悶着あれど美波の退職で落ち着いた筈の黒崎厩舎だが、それから数年後に今度は野川が里穂に手を出していたのが発覚。
それで愛想の尽きた美智子が独立したばかりの木原洋介についていく事態になった。
この時も野川はお咎め無しで、里穂と付き合っていたらしい。

そしてそんな頃に紗英が帰国。
調教助手として黒崎厩舎に入った。
その頃から黒崎新五郎が体調を崩す日が増えてきて、実質的に黒崎厩舎を動かすのが紗英と野川になったのである。

そこで紗英と野川は急接近し男女の関係となる。
野川は同時に里穂とも関係を続けていた。よくも狭い人間関係で上手くできたものと思うが、それが野川という男の世渡りの上手さである。

このころから野川は中央に頻繁に参戦するようになり好成績を上げ続けた。
中央移籍が決まればすべて水に流して何もなかったかのように……というのも、このころから考えていたと思われる。

そして新五郎が亡くなると、野川は紗英たちを捨て中央へと移籍。
あっという間に全国区のトップジョッキーになり2年前に今の妻と結婚するのである。

「…なんか聞いてるだけで気分悪くなってきました」
「親父さんさえ何にもなかったら…いや、いた方がもっとダメだったかな、あの頃はあの頃だよ」

碧と美波は宴から離れ、外に出て夜風にあたる。
春の夜は、まだ少しひんやりとしていた。

「私たちが何もかもいい方に向くきっかけが、碧ちゃんだったわけさ」
「そんな…私が皆さんに支えてもらってるのに」


「ママー」
そんな2人の前に、幼い女の子が現れる。
「なんだ、暗い中ここまで来たのか、香澄」
美波が女の子の頭を撫でる。

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