PiPi's World 投稿小説

アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

の最初へ
 60
 62
の最後へ

アイドルジョッキーの歩む道は 62

14頭、態勢完了、いざスタート。

全馬そろった綺麗なスタート……とはいかなかった。
カーマイン、アルトゥーベ2頭の次に人気を集めたニシキブライアンがゲートが開いた瞬間大きく躓いた。
鞍上は谷口、さすがの彼もどうすることもできず落馬。
スタンドが大きくざわついた。

碧と由梨は無事すんなりスタートを決め、それぞれ理想のポジションを取りに行く。
ジェイアルトゥーベは外からスピードを生かし内の各馬に被せるようにハナに立つ。
ジェイカーマインはそれを見ながら2,3番手につける。
レースは落ち着いたように見えた。

しかし向こう正面、空馬になったニシキブライアンがジェイアルトゥーベに並びかけて行ってしまう。

これで暴走・・・
後で見ていた碧もそう思ってしまった。
しかしジェイアルトゥーベは多少加速したものの、ちゃんとレースしていた。
これには碧の背筋も寒くなった。
テン乗りの由梨の方がジェイアルトゥーベを制御できていた。
いや、むしろ情報が無い分、先入観に惑わされず乗っているのだろう。

これは手強い。
こんな走りをされたらなかなかにタフなレースになるだろう。
碧は気を引きしめ、勝つ為に頭を切り替えたのだ。

空馬はあっという間にジェイアルトゥーベを交わし走り去っていく。
ジェイカーマインはアルトゥーベから1馬身ほど後ろの2番手の内を追走する。
外から並んでくるのは何度目かの対戦になるデンゲキエース。

落ち着いたペースからの直線ヨーイドン勝負ではどうなるか、お互いの駆け引きになるだろう。
地元の騎手相手なら何とかなるが、今回は相手は由梨だ。これも一筋縄ではいかない。

3コーナー、前3頭の競り合いは徐々に固まろうとする中で、その後ろから半ば乱暴ともいえるような追い方でまくってくる馬が1頭。
前岡騎乗のダイゴウエンパイアだ。

前岡の異図は碧にも分かる。
強引にでも競りかけていかないと、ジェイアルトゥーベを逃がしてしまうからだ。
強引に競りかけてジェイアルトゥーベをヒートアップさせて体力を奪いスタミナ勝負に持ち込む・・・
前岡は多少強引な所はあるが、地方競馬全体の若手の中でも高い腕前を持ってるのだ。

だが、碧の方は動かない。
前岡のやり方は彼なりの正解ではあるが、碧のやり方ではない。
碧はジェイカーマインのいい所を引き出す事に集中するのみだ。
抜群のスピードや切れる脚は無いが、いい脚を長く使えるジェイカーマインは非常に戦略の幅が広い。
その分、騎手の技量が問われる訳だが、そこは乗り馴れた馬である。
4コーナーで前岡がジェイアルトゥーベに並びかけるようにしてから碧は馬を動かしたのだ。

4コーナーで内からデンゲキエース、ジェイアルトゥーベ、ダイゴウエンパイアと3頭が並ぶ。
ジェイカーマインはダイゴウエンパイアの外から手ごたえよく交わして行こうと碧は目論んだ。

内の2頭はまだ余裕がある。
ダイゴウエンパイアの方が苦しそうに見えた。
前岡は一発、二発と鞭を飛ばす。
ジェイカーマインが並びかけてそのまま突き抜けようとした瞬間、ダイゴウエンパイアが外によれてしまう。

SNSでこの小説を紹介

スポーツの他のリレー小説

こちらから小説を探す