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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 60

まずは4月第1週、牝馬クラシック初戦の伊豆桜花賞。
ブラックドラゴンはいまだ無敗、圧倒的な1番人気の支持を得る。

「ここじゃ負けるわけがないよなぁ」
「ええ、そう思ってるわ。ただ競馬に絶対はないわ。油断しないでね」
自信満々の龍也に、紗英は忠告する。
しかしその紗英もブラックドラゴンには大きな自信を持っていた。

「問題は相手よりコンディションよね」
「ああ、確かに雨ん中走るのは初めてだな…」

二人はそう会話しながら準備する碧を見る。
碧の表情も堂々としたものだった。

「大丈夫ですよ先生、それに龍也さん・・・あの子に雨なんて関係ありませんし・・・私も雨は嫌いじゃないです」

自信からか彼女の笑顔は自然体そのものだった。
本心から馬を信じているし、自分の腕も信じているのだろう。

「ああ、碧はヌレヌレ好きだもんな」
「龍也っ!」

ニヤリとそう言う龍也に紗英が睨みながら言う。
近くで聞いている者がいないとは言え、あまり大っぴらに言って欲しくは無い。
だが、そんな言葉にも碧はにっこり笑う。

「可愛がって貰えるなら大好きです」

碧は龍也との行為を嫌がっていない。
いや、嫌がっていないと言うより積極的ですらある。
紗英の妹になりたいと言う気持ちがそうさせてるのもあるのだろうが、紗英からすれば連日のように龍也が碧を抱いて性感開発してるだけに不安になる。
ただ救いは、レースに影響のある事はさせてないと言う事・・・
どちらかと言うと、龍也も駿太も尚樹も、碧の騎手としての才能の方を重視している気はする。


それは北川碧という存在が、豆州湊競馬を、地方競馬全体を背負って立つトップジョッキーになれると期待されているからである。

「今日も頼むぜ」
「はい……勝ったら、わかってますよね?」
「ああ、勝っても負けてもたっぷり可愛がってやるよ」

紗英は少し複雑な心境を抱きながらもお似合いになっていく2人を見つめるのだった。

そして、伊豆桜花賞の結果は圧巻であった。
ブラックドラゴンは前3走と同じく、抜群のスタートと共にハナを取るとそのまま押しきり。
ゴールでは大差を付け、コースレコードまで出してしまう走りであった。
一頭だけ次元が違い、負けた陣営からも『時代が悪かったよ』と半ば諦めの言葉が出るぐらいだった。

「この辺りじゃ、全く問題にならねーんだなぁ」
「そりゃあ、あの子は中央のG1を狙える器だもの」

龍也に対して紗英はそう答える。
秋シーズンからは中央参戦すら頭の中にあった。

「俺はな、あの馬と碧に挑戦させたいレースがあるんだ」
「まあ、G1ならどんなレースでもきっと問題無いわ」
「ああ、ブリーダーズカップ・ディスタフに挑戦させたい」

紗英はそのレース名に驚く。
知らぬ名のレースではない・・・
ブリーダーズカップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップ。
それは、アメリカで行われる世界最高峰のシリーズ戦。
ディスタフと言えば砂の世界最強牝馬決定戦である。
地方競馬の調教師が考えるには、余りに途方もない話であった。

「考えるだけならタダだけど」
「いや、俺は本気だぞ」

地方競馬所属で海外遠征を行ったのは、過去にたった1頭だけ。
当時の地方最強馬で、中央のダート強豪相手に東京大賞典や帝王賞で互角に渡り合った力を持っていた。
ちょうどピークの時にドバイワールドカップに参戦し、結果は6着。
それでも当時は大健闘と称えられたものだ。

それに紗英の脳裏にはフランシードールの存在も過っていた。

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