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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 59

12頭立てのレースは向こう正面で次第に縦長の展開になる。
ランドマインタルトは2番手に2,3馬身ほどのリードをとって逃げる。
平均ペースか、それよりややスローといったところか。
理想の逃げが打てた。

3コーナー過ぎまでレースは動かない。
スタミナに自信のあるランドマインタルトだから、まだまだ余裕だ。
ようやく後続が動き出すかというところで第2のギアを使う。

このレースには諸澄兄妹や学、美月は騎乗していない。

ギアを上げて突き放す碧。
後続が迫ろうとするが、もう遅い。
最後は2馬身差での完勝。
綺麗に逃げきって、碧も次への展望に顔が綻んだのだ。

だが、その日の主役は碧では無かった・・・


『なんと、なんと!、飛んできたのはアクトライナー!・・・大荒れ、大荒れですっ!!・・・春の電撃戦!、制したのはアクトライナー!、そして!、堀江美月っ!!・・・かぐや姫のエスコートにっ、白い王子が応えましたっ!!』

大波乱の高松宮杯。
8番人気の2着チェリーブランと11番人気のアクトライナーが1着の大荒れ。
そして制した鞍上が、2年目の堀江美月。
ライバル諸澄舞より先にG1を制しただけでなく、彼女はこれが重賞初勝利だったのだ。

応援していた碧も嬉しさより驚きが勝ってしまう程だった。

「美月ちゃんの追い方も、まるで百戦錬磨のベテランって感じよね。展開はハイペースだったけど、あれで大外一気は決まらないと思ったら…」

レースのリプレイを見ながら碧は呟く。
勝利セレモニーの後のインタビューでは、美月は泣きじゃくっていてもう何を喋っているのかわからないほどだった。

「美月ちゃんもまさか届くとは思わなかったんだろうな」

感慨深くそう言う碧。
ライバルであるが、いやライバルであるだけに活躍は嬉しいものだった。
美月だけでなく、舞や由梨とも、この4人で競馬界を引っ張って行こうと言い合って年を越しただけに、碧も更に彼女達に負けないようやっていかねばと心に誓ったのだった。


そして地元豆州湊競馬場もクラシックシーズンがやってきた。
4月上旬から始まる牡馬の第一戦は豆州湊賞、牝馬の第一戦目は伊豆桜花賞だ。
どちらも1600mの距離で行われる。
牡馬牝馬共に三冠馬が少ないのは、レース期間の短さと距離設定と言われている。
この一戦目は1600mなので短距離からマイラーでも制してしまえる事がそれを巻き起こしているのだ。

5月上旬にある第二戦目、牡馬の豆州湊大漁杯、牝馬の伊豆つつじ賞はどちらも2000m。
6月上旬の伊豆の国温泉ダービー、伊豆の国温泉オークスが2400mと、どんどんとスタミナを要求される。
このレースを経て7月のジャパンダートダービーに挑戦していくのが、最近の豆州湊所属場の通例となっていた。

今回、牝馬クラシックはブラックドラゴンで参戦は決定している。
ジェイマリーナやランドマインタルトと言う3歳牝馬の有力候補は中央の芝路線に進路を取っていて、ジェイマリーナの次走は桜花賞。
ただ距離的にマイルが最適のジェイマリーナだけにオークスに向かわずNHKマイルの選択もありえる。
代わりにランドマインタルトが次走をフローラステークスに選んでいるので、2着以上であればこの馬でオークス参戦となるかもしれない。

牡馬の方は三冠レース全てにジェイカーマインで参戦する予定である。
しかし、初戦の豆州湊賞に関しては、ジェイアルトゥーベと二頭で参戦する予定となる。
ジェイアルトゥーベの鞍上はどうするか悩みがあったが、同じ週で古馬のR4戦伊豆春風杯に遠征予定だった由梨に頼む事ができた。

つまり、豆州湊のクラシック初戦は、由梨とのライバル対決で始まる事になったのである。

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