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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 58

「碧さん大活躍ですね!今度の地元のビッグレースに凄い馬がいるって」
「いやいや、勝たなきゃいけない馬だからさ、プレッシャーもすごいんだよ。それより、美月ちゃん今年調子いいよね、通算31勝目あげていきなりG1でしょ」
「いえいえ、今回は回ってくるだけですよ〜」

3月末、中京競馬場。
第9レースの「大寒桜賞」(3歳500万下、芝2200m)に地元馬で参戦するため訪れた碧と、G1・高松宮記念で初めてのG1騎乗を果たす美月。
美月は年明けから絶好調でここまでで24勝、すでに1年目シーズンの3倍の勝ち星である。

彼女だけでない。
ヤングジョッキーシリーズでしのぎを削った4人は、着実に成長、活躍していた。

舞は今季既に重賞初制覇しただけでなく3勝も上げ、勝利数も30勝と絶好調。
美月も舞もリーディングトップ10圏内の活躍だった。

そして川崎では由梨が大暴れ。
今年の川崎記念でビックレースを初制覇。
勢いに乗ってのフェブラリーステークスでは2着と大健闘。
南関東のリーディング争いにも加わる程に勝利数も稼いでいた。

そして碧も絶好調だ。
本拠地でのリーディングは開幕以来首位を独走中なのだ。

「あっ、それと碧さん・・・婚約されるって本当ですか?」
「えへへ・・・今年中に黒崎碧になるんだよ!」

碧の好調の原因の1つはこれである。
綺麗になっただけでなく、レースでは抜群の冴えまで見せていたのだ。

ベテランのような技巧の騎乗に凄みまで増し、その上に綺麗になったものだから、碧は地元での人気は不動のものになっていた。
そう言う意味ではアイドルジョッキーだが、碧の地元ファンは女子が多く、それが男臭いと言われる豆州湊競馬場に女子のファンが増えて華やかになってきた効果もあった。
そして、更に中央でも碧のファンは増えつつあるが、その分美月や舞のファンからは目の敵にされているらしい。

「G1は応援団長やるから頑張ってね美月ちゃん!」
「ああ、でも舞ちゃんも出るんですよ・・・」
「いいよ、舞ちゃんは心の中で応援しておく」

高松宮杯では勿論、諸澄兄妹も出走予定。
碧は出ないので気楽に応援だが・・・
来年ぐらいはジェイアルトゥーベで参加できたらいいなぐらいの期待はしてたりする。

そして、碧は自分のレースに集中だ。
今回はこの1レースのみ。
騎乗するのはランドマインタルトと言う牝馬だ。

黒崎厩舎の馬で、オーナーはプチラズベリーと同じ。
レイクインザダークという自身も菊花賞を制し、産駒にも菊花賞馬が3頭いるというサンデー系の中でもステイヤーに特化した種牡馬を父に持つ。

「距離は長ければ長いほどいいと思う。あとは芝適性だけね」
「硬すぎず緩すぎず、いい馬場だそうです」
パドックでランドマインタルトを引く真奈美に、碧が言う。
他に騎乗馬がいないので碧は事前に学から馬場状態を聞いていたのだ。

中京競馬場は地方競馬と同じようなトラックコースだが、若干坂もあったりと違いもある。
そして中央競馬では数少ない左回りである。
芝2200mは直線奥からスタートして一週回るレース。
坂はあるが、そこまで気にはならない程度だ。

本馬場から待機場に向かった感じは、学に聞いていた通りの印象だ。
ランドマインタルトの様子からも走りにくい感じは受けない。
コースとしては地方競馬同様、先手を取っていく方が有利なのはあるが、スタートしてから直線が長いのでそこまでこだわらなくてもいけそうな気はする。

そして、ゲート入りもスムーズ。
特にゲート入りに苦労する馬もおらず、スタート。
スタートを得意とするランドマインタルトは抜群のスタート。
そのままハナを取った。

気持ちよく走ってる所を見ると、芝でも苦にならないようだし、ペース的にも大丈夫だろう。
上手くインを取った碧が先頭でレースを引っ張っていく。

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