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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 55

ゆっくり登っていく…それが当たり前のところを碧はじわじわと手綱を動かしながら前進。
ペースはややスロー。後続も外から進出を開始する。

ジェイマリーナは先頭のライズワールドをとらえにかかる。
間にいるサニーヒーロー、鞍上の皆川淳が碧の方をちらりと見やる。

さらに外…一気にまくってくるのがエアタイクーン。
全日本2歳優駿でジェイカーマインと対戦した素質馬が動く。

だが碧の顔には余裕の笑みがあった。
坂を下って最後の直線。
残り200mで先頭を交わしそのまま押しきり。
2着とは1馬身差だったが、内容は完勝だった。

そこから依頼のあった2頭の馬に乗り、最初の馬は9番人気ながら3着に食い込み、もう1頭は5番人気の馬で勝利。
その騎乗たるやまるでベテランのようで、彼女はそこらの顔だけのアイドルではなく実力も兼ね備えていると関係者を唸らせる程であった。

そしていよいよ万葉ステークス。
菊花賞と同じバックストレートからコースを1周半するロングレースだ。

エクセレンスギアの管理は糸居調教師。
ジェイエクスプレスのライバル、ヴィングトールも管理していた。

「君にとっては菊花賞のいい練習になるだろう?」
「いいのですか?、そんな事したら勝っちゃいますよ」
「競馬に絶対はないからね、そう言う事もあるかもしれない・・・だが、そう甘いものではないよ」

糸居はそう笑うのは余裕とかではなく、地方から新たな力が出てきたのを歓迎してるのもあるのだ。

万葉ステークスは年明け開催の名物レース。
芝3000mの長丁場で、格上挑戦する馬も数頭いる。
ハンデ戦であり、エクセレンスギアも少し軽めの斤量で出走できた。

人気は暮れの中山の長距離重賞、ステイヤーズステークスで掲示板に入る好走をしたトーコウリバティとランドアヴァロン。
トーコウリバティは明けて9歳になるが長距離レースの常連としてファンに人気があり、まだまだ衰えを見せていない。
エクセレンスギアは4番人気だ。

昨年から主戦を勤め7走騎乗している舞からは情報を貰っているが、聞いた碧の最初の印象は兄弟似てないと言うものだった。
似ている所は抜群のスタミナぐらい。
エクセレンスギアはジェイエクスプレスよりも重厚な血統な分、スピードに劣る感じだった。
そして気性。
リボー系らしい荒い気性らしく、兄弟で全く正反対。
歩き方もゴツゴツして似ていない気がした。

パドックで跨がった感じだとやや似ている気もするが、脚の運びの硬さは感じる。
ただ年齢のせいもあるだろうが、弟よりパワフルにも思える。

毛色もジェイエクスプレスが赤みがかった栗毛に対し、エクセレンスギアは鹿毛。
全く色々と違うから兄弟として考えない方がいいかもしれない。

本馬場に出て待機場まで走らせる時のグッと気合いが入る辺りは碧としては好きなタイプだ。
縁のある馬だけに勝たせてあげたい。

スタートはゆっくりと出た。
落ち着いて中団の外めのポジションを取る。
先手は49sの軽ハンデのワイズクールが奪い、徐々にリードを広げていく。
3コーナーの坂を過ぎると1頭だけ抜けて大逃げの様相だ。
残る13頭はほぼひとかたまり、エクセレンスギアは馬群の中団の外にいる。

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